俺は、三つ子幼女のお兄ちゃんになりました

イズミント

第1部 4カ月前の話

01 プロローグ~俺は三つ子幼女のお兄ちゃん~

「ふぅ、ただいま」


 高校一年一学期の終業式が昼に終わり、家に帰って来た。


「にーさま、おかえりなちゃい」


「にーに、おかえりー」


「おかえり、おにいちゃん」


 すると、真っ先に幼女三人が可愛らしい笑顔で俺に向かってくる。


「ただいま、陽愛ひな由奈ゆな愛菜まな


 俺は、靴を脱いでからしゃがんで幼女三人を受け止める。

 幼女三人が一斉に俺の身体に頬擦りしてくるその様子がまた可愛いのだ。

 ちなみに俺のことを『にーさま』と呼んでいる子が陽愛ひなで、『にーに』と呼んでる子が由奈ゆな、『おにいちゃん』と呼んでいる子が愛菜まなである。

 三人ともよく俺に懐き、甘えてくれるのだが、陽愛ひながこの中で一番甘えん坊な子であるのだ。

 まぁ、悪い気はしないな。 可愛いし。


「お帰り、彼方かなた


 幼女三人の後に父さんが玄関に来た。

 今日は弁護士の仕事は、他の優秀な弁護士に任せて休みを4日くらい取ったのだ。


「ただいま、父さん。 で、母さんは?」


「昼食の支度をしているよ。 もうすぐ出来るはずだ」


「分かったよ。 着替えてからキッチンに行くよ。 その間、この子達を頼むよ」


「ああ。 仕事が休みだからこそ、触れ合いたいからね」


 後から出迎えに来た父さんに、幼女三人を任せて自分の部屋に向かう。


 さて、自己紹介が遅れたが、俺は桂川かつらがわ 彼方かなた

 今は私立の高校に通う高校一年生だ。

 父さんは、超有能な弁護士で事務所にはかなりの数の相談や依頼が来るようだ。

 その事務所に勤務する弁護士も父さんが育成したかなりレベルの高いらしい。

 そうそう、俺を出迎えに来てくれた幼女三人は、妹だが血は繋がっていない。

 さらに、今の母さんも本当の母さんではない。

 俺の本当の母さんは、死別している。

 正確には母さんに嫉妬した女に突き落とされてそのまま死んだ。

 当然、父さんは激怒し、それぞれの親族も激怒したので、慰謝料や懲役を求めて裁判を起こし、勝ち取った。

 その時の弁護士は、父さんが育てた有能弁護士だった。

 自失呆然としながら、双方の親族の助けもあって無事に中学を卒業できた。

 なお、お金はかなりある方なので生活費や学費などは問題はない。

 話はずれたが、今の母さんと幼女三人姉妹はある出来事でショックを受けた時に父さんからの再婚の報告で出会ったのだ。

 その出来事とは……。

 俺は、それが起こったという約4ヶ月前の出来事を不意に思い出していた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る