雨と虹
8−1 雨と虹
コロン。
朝一、ベッドの上にあるスマートフォンがなった。
手にとった。
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小嶋『妹にも風邪がうつって、
今日も議会は休ませてくれ。すまん!』
上杉『了解。
会議室で資料の作成をしています。
今井は、自由参加でいいです』
今井『了解』
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夏休み期間の、
静かな校内を歩くのが好きになった。
生徒とすれちがうこともなく、
自分の足音だけが廊下に響いていた。
誰もいない教室。
消火栓の鮮やかな赤。
開いたことのない窓から見える景色。
長い廊下の消失点には、
光が四方八方から乱反射し、幻想的だった。
ガラスケースの色褪せたトロフィーには、
昭和の文字が刻まれていた。
第2会議室に入り、いつもの席に座った。
今井は来るのだろうか?
ぼくは、そわそわした気持ちで、
なにをするでもなく室内を見やる。
黒板に目がとまった。
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『文蚊祭 (悪 VS 神)
聖戦まで、あと 18日!』
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「文化祭、もうすぐだな」
三日月にならんだ三つの机、
窓の外、空には、
壮大な積乱雲がたゆたっていた。
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