化け物狩り

夜中真昼-よなかまひる-

プロローグ

1

 荷物を背負い、部屋の中を感慨深く見渡してから、最後に僕はを見下ろした。


「……決めたよ、父さん」

「……」

「僕、外に行くよ。もっと世界のこと、僕たち人間のことも知りたいんだ」

「……」

「いまさら止めたって無駄だからね。先に眠った父さんが悪いんだ……」


 返答はない。


 それもそうだ。だって彼は一週間も前に死んだのだから。


「おやすみなさい、父さん。行ってきます」


 もう二度と物言わぬ身体となった抜け殻に僕は、最後のキスを落とした。

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