第18話 秋の果て
僕のこのひずんだ身体はもう純真な子供ではなく、その不都合なまでに毒薬をまぶした腐肉で形成されている。
それも、魔界のサタンの下僕となった魔女が媚びへつらって、堕天使に火種をやったように……、結局は汚濁にまみれていくんだろう。
負のループを変換しようと試みて、伯父さんの一人剣はどんな感じなのだろう、と僕は待望を巡らした。
本物の小刀をもって舞う。
天に向かって星に向かって舞う。
伯父さんの一人剣の舞は迫力と荘厳さと権幕があり、それは、それは真正だとか。
いけない、こんな風に取り留めもなく、落ち込んでいたら、花の舞さえもちゃんと舞えなくなる。
このまま、持ち切ればいいんだ。
僕は色無き風が窓際から差し込む神無月、神楽舞の様相を呈しながら心地よい軟風を浴びた。
このまま、十四歳の少年の燃え盛った肖像画を持ったまま、秋の果て、女郎花や萩の花、竜胆や秋桜、団栗……等の秋の好物が僕の気を塞ぐのを避けるように森羅万象、走り去ればいいんだ。
簡単に切ない精神性を蔑ろにはできないように秋の風もまた、背中をいつも真っ向から吹かすばかりでもない。
秋桜の花びらのクレヨンを夕空に描くように僕はこの孤独感もキャンバスに描くのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます