第18話 秋の果て


 僕のこのひずんだ身体はもう純真な子供ではなく、その不都合なまでに毒薬をまぶした腐肉で形成されている。  


 それも、魔界のサタンの下僕となった魔女が媚びへつらって、堕天使に火種をやったように……、結局は汚濁にまみれていくんだろう。


 負のループを変換しようと試みて、伯父さんの一人剣はどんな感じなのだろう、と僕は待望を巡らした。


 


 本物の小刀をもって舞う。


 天に向かって星に向かって舞う。


 伯父さんの一人剣の舞は迫力と荘厳さと権幕があり、それは、それは真正だとか。


 いけない、こんな風に取り留めもなく、落ち込んでいたら、花の舞さえもちゃんと舞えなくなる。


 


 このまま、持ち切ればいいんだ。


 僕は色無き風が窓際から差し込む神無月、神楽舞の様相を呈しながら心地よい軟風を浴びた。


 


 このまま、十四歳の少年の燃え盛った肖像画を持ったまま、秋の果て、女郎花や萩の花、竜胆や秋桜、団栗……等の秋の好物が僕の気を塞ぐのを避けるように森羅万象、走り去ればいいんだ。


 


 簡単に切ない精神性を蔑ろにはできないように秋の風もまた、背中をいつも真っ向から吹かすばかりでもない。


 秋桜の花びらのクレヨンを夕空に描くように僕はこの孤独感もキャンバスに描くのだった。



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