【悲報】大賢者になって喜んでたら、序盤強キャラあるあるでした〜日本ってゲームの世界?スピンオフ〜

さこゼロ

第1話 魔王のゲーム

 この作品を、


 カクヨムの偉大なるルーキー、


 トマト準也さまに捧げます。





 〜〜〜


 それは、突然のことだった。


 空一面に何者かの姿が映し出されたかと思うと、


 それが【魔王】だと認識する前に、


 日本は異空間に隔離された。


 その瞬間、全国民が唐突に理解する。


 この世界のルールと現実への帰還方法を…


 しかし、それを受け入れられなかった政府によって自衛隊は壊滅状態に追い込まれ、


 信じなかった人々は、魔物にたくさん殺された。


 隔離から三日と経たず、日本の総人口は三分の一以下にまで激減した。


 そんな中、たしなむ程度にゲーム好きな大学二年生の準也には、【大賢者】のスキルが与えられていた。


 〜〜〜


 日本が異空間に隔離された直後、


【魔王】から、ありがたいお達しがあった。


 今から二十四時間後に、日本全土に魔物を放つと言うのだ。


 それに先だって、四十七体のエリアボスを配置するので、二十四時間以内に討伐出来れば、そのエリアは安全領域セーフゾーンになるという。


 しかし、この世界のルールとして、現実の武器では魔物にダメージを与えることが出来ない。


 その為、およそ一万人にひとり程の割合で、戦うためのスキルを与えられた者たちがいる。


 そんな、【プレイヤー】と呼ばれる者たちへのメッセージと言うことなのだろう。


 そうして、俺にもスキルがある。


 ステータスを確認すると、この【大賢者】、メチャクチャ強い。


 ちょっと、信じられないくらい強い。


 徒歩で十分ほどの場所にエリアボスが配置されたので、アパートの窓から確認すると、


 炎に包まれた、四つ足の巨大な獣の姿があった。


 相手が炎なので試しに水魔法を使ってみると、エリアボスの場所に巨大な水の柱が立ち上がり、


 一瞬で、エリアボスの姿が消失する。


 その瞬間、


『ほお、福島エリア全域が安全領域セーフゾーンに指定された』


 頭の中に、【魔王】の声が響いてきた。


『最速だ、素晴らしい。他のエリアも健闘を祈っているぞ』


 誰の手柄か判らないまま、アパート周辺から悲鳴のような歓声が聞こえてくる。


「もしかして、『俺TUEEEEE』ってやつ? 大当たりを引いちまったか?」


 その時の俺は、まさに有頂天だった。


 〜〜〜


「とんだハズレを引かされた…」


 まさに急転直下、


 辛い現実に気付かされた。


 この三日、魔物を倒しに倒した。


 プレイヤーは、二十四時間ごとに最低一体、魔物を討伐しないと、【魔王】のお膝元、北海道エリアに強制転送させられるらしい。


 関東より以北は段々と魔物の強さが増すらしく、北海道エリアはどれ程のハードモードか予想もつかない。


【大賢者】でさえ、宮城県の中腹を越えるころには厳しくなってきた。基本、ソロで攻略する難易度ではないのだろう。三人いるという【勇者】と合流する必要があるのかもしれない。


 しかし、問題はそこではない。


 ステータスが、1ミリも上がらないのだ。


「コレってやっぱり、序盤強キャラあるある…」


 成長値がゴミの、使い捨て前提キャラ。


「だああああ、最悪だあああ!」


 なげき叫んだ丁度その時、


『約束の…ペンダントを、探しなさい』


 頭の中に、優しい女性の声が響いた。


「…え⁉︎」


 しかしそれ以降は、うんともすんとも聞こえてこない。


 何とは無しにステータスを確認すると、限界突破アイテムとして、『約束のペンダント』が追加表示されている。


「…って、情報これだけ⁉︎ 何処でどーやって手に入れるんだよ!」


 かなり無理ゲーなイベントフラグに、只々困惑するだけだった。

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