第12話 誰が彼女を苦しめた?



―放課後―



そして、時間は経ち、帰りの会を終えみんなが下校した。


歩は、6時間目の最初の方にお母さんが来てくれて家へ帰ったと連絡を受けていた。



そして、集団下校なので同じ町の仲間と帰る。



この時、町は違うが、同じ地区で町が隣の美咲と帰る。



町が近くなので通学路が被るからだ。



俺らは、他の人たちに先に行くように伝えた。


正直このようなことは危ないのでしてはいけないが。今はそれどころじゃない。




美咲「...さすがに危ないって意味が分かったでしょ?」


隆之「あぁ」


美咲「あゆみって明るく見えて、意外に裏では繊細な子なんだよね だから、普通だったら気にしないことでも気にする そんな優しい子」


隆之「.....」


美咲「たかゆき 今から言うことは私が言える範囲だけだよ そこからはたかゆき次第」


隆之「俺があいつを苦しめたんだよな」


美咲「違う 私も苦しめたんだよ」


隆之「俺たちはやっぱ子どもなんだよな」


美咲「そうだね」







そして、少しの間、俺たちは無言のまま歩き出した。








美咲「私たち、USNの時に色々あって、喧嘩しちゃったんだ」


隆之「えっ!? いつ?」








美咲「昼食をとったときだよ」そう言えば、トイレから出てきた時表情が硬かったのを思い出した。







それと同時に、







樹が告白した店でいつもなら一緒にいるはずの歩と美咲が別々の場所にいたこと、すべてが結びついた。







そして、今日の学校でも2人が喋っているところを見ていない。






俺は、そんなことが起きているとは思わなかった。気がつきもしなかった。




隆之「.....」



美咲「なんとなく察したね で、そのなぜ喧嘩したかと言うと それはほんとに些細なことなの」






隆之「些細なこと?」






美咲「うん 私には、“みさき“って名前で呼んでくるよね?」


隆之「あぁ」それがどうしたんだ。













美咲「じゃあ、たかゆきってあゆみに名前で“あゆみ“って言ったことある?」


俺は、思考が停止した。









何を言っているんだ。名前であゆみっていったことぐらい…..








俺は、嫌な汗が出た。






俺は、あゆみ以外と話すときに“あゆみ“と名前でいうが、あゆみ本人に“あゆみ“と言ったことが...俺は、その場で立ちくらみがした。





美咲「大丈夫!?」


隆之「...俺は別に意味があったから言わなかったんじゃない! ホントだ!」


美咲「うん 分かってる わかってる」


隆之「俺は...くそっ...こんなことにも気づけないのか」


美咲「ここからは、ちょっときつい話になるけど覚悟ができたら言ってほしい」


隆之「…」



覚悟なんて当然できていると思った。



でも、その自信を無くした。



俺は、なんて無力なんだ…









美咲「...辛い時は 笑うんでしょ?」


隆之「!? なんでそれを」




美咲「そりゃ聞いてるよ 大好きな2人なんだからさ」


意味が分からなかった。


こんな感情、感じたことが無い。


ただ俺は、通学路で一人うずくまって俺は、泣きながら笑っていた。





美咲は、かがんで、男の子なんだから泣かないって言いながら、ハンカチを貸してくれた。




俺は、それで涙を拭いた。



俺は、前に進むんだ。



そう思い、前を向いた。




美咲「鼻水出てるよ(笑)」


隆之「!? 恥ずかしっ(笑)」美咲が鼻水をティッシュでとってくれた。


美咲「かっこいいシーンが台無しだね」


隆之「うっ…」


美咲「たかゆきは、それぐらいがちょうどいい(笑)」


隆之「なんだよそれ(笑)」


俺は、前を向くそれだけは絶対に誓うと心に誓った。


美咲「今日は、色々話してたら外が暗くなってきたし、明日また、この放課後に、はなそっか」


隆之「でも、」


美咲「気持ちはわかるけど焦ったダメだよ」


隆之「.......そうだな..」


美咲「そう、今日のことを明日から変えるだけできっと良くなる」


隆之「あぁ」


美咲「まぁ、鼻水小僧のせいで話進まなかったことは否めないけど(笑)」


隆之「学校で絶対言うなよな(笑)」


美咲「どうしよっかな?(笑)」


隆之「おい(笑)」


2人「笑」 



俺たちはそうして家に帰った。


明日からきっと良くなることを信じて。

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