第7話 初めてのテーマパーク



―夢のような時間―



俺たちは楽しみであったUSNについた。


俺は、USNに来たのが初めてのこともあり、周りを見渡していた。


そして、色々なアトラクションに乗ったり、おいしいご飯をたくさん食べた。





そんな夢のような時間は過ぎていき、ついに告白の時間がやってきた。



周りには人がいない、そんな場所に歩と樹は2人きりになっていた。


俺は、こっそりと後ろから見ていた。



樹「楽しかったね」


歩「ほんとそうだね 帰りたくない(笑)」


樹「...俺もすごくそう思う」


歩「楽しい思い出って忘れないよね? なんでなんだろ」樹に背を向けながらそう言った。


樹「俺さ!...」歩は振り返る。


歩「どしたの大声出して(笑)」


俺は、ドキドキが止まらなかった。自分のこととは関係ないのに心臓の鼓動が早くなるのを感じた。



落ち着け、落ち着けと祈ったが止まる様子はなかった。



樹が歩に向かって照れくさそうに、しかし、真っ直ぐ目を見て言った。



樹「あゆみのことが...好きです!!」シンプルな言葉だった。



歩は驚いていた。





答えは、出ない。





数分の時が流れた。



そして、歩の口は開く





歩「.....私.....」





心臓がはじけそうになるくらい鼓動が加速する。








俺は、次のことばに最大限の集中を注いでいた。












歩「わたしも同じ気持ちだよ いつきのことが好き!!」








えっ、今なんて言った。




分からなくなった。



自分の目の前が真っ暗になった。




目から涙がこぼれ出る。




どんなに涙を手でぬぐっても溢れ出る。とまらない。







隆之「やめろーーー」そんな声が出た。



目をあけたそこは



俺が寝ていた寝室だった。夢であったのだ。



だが、涙はこぼれていた。




その俺の声に驚き、部屋メンが目を覚ました。




―修学旅行2日目―


―寝室―


部屋メン①「..どうしたんだよ」眠い目をこすりながら言った。

部屋メン②「......たかゆき泣いてるのか?」

隆之「いや何でもない」

部屋メン②「泣いてるじゃん」

樹「怖い夢でも見たのか?」

隆之「.....こわい か  わりぃ、みんな起こしちゃって 夢でうなされてさ(笑)」

部屋メン①「そうか じゃあ、俺はもう少し寝るわ」

部屋メン②「いや、もう起きる時間だわ」

部屋メン③「ナイスタイミングだ たかゆき」


そんなところで褒められてもなと思いつつ、俺は朝の支度をすることとした。


そして、みんなは朝の簡易な朝食を済ませ、USNへと向かうためにバスに乗った。



―USNに向かうバスの中―


みんなバスの中では、歌を歌ったり、伝言ゲーム、なぞなぞをしたりして時を過ごした。


そして、バスの中からUSNが見えると


男②「でけぇー 来たぞ U S N」

男①「ここで逃走中したいな」

男②「確かに..」

男①「ここにヘキサゴンメンバーを連れてきてクイズして欲しいな」

男②「チョイスがおかしいだろ!」



隆之「ここでするのか…」


歩「何が?」 後ろの席の歩が俺の席の上にヒョイと顔を出す。


俺のことばを聞き逃さなかったようだ。


隆之「いや、何でもないよ..」


そして、俺たちは、USNの地へ足を踏み入れた。





―USN(午前中(前編))―



すごい甘い匂いが鼻腔をくすぐる。


そして何より夢で見たよりもとても大きく、未知が広がっていた。


俺は、目を輝かせながらUSNの入場口付近まで歩いて行った。


それは、俺だけでなく他の6年生もそうであった。誰だってそうなる。


いつも見る光景は、田舎で畑や田んぼしかなかった。


それとは対照的に、こんな子どもの気持ちをくすぐる場所は、ほぼ初めてであろうから当然である。


先生「では、クラスごとに回るのでそれぞれの担任の先生についていってください 


 先生はクラスごとに3名いますので困ったことがあったときは遠慮なく言ってください


 また、本当に大きなテーマパークですので1人の勝手な行動が周りのお友達に迷惑をかけますので絶対にやめてください 


 そして、一般のお客さんもいますのでマナーある行動をしてください 起きてほしくないですが、もしも、迷ったときはスタッフの方に声をかけ、しおりの担任の先生の電話番号を見せるようにしてください


 皆さんを信頼しています では、3組から行きます」


俺は、入り口を抜け大通りを歩く。


何もかもが新鮮で目を輝かせる。


歩「ふ ふ」


俺は、歩の方を見た。こっちを見ていた。


隆之「なんだよ」

歩「いや、なんでも ふ ふ」


樹「なんか甘い、いい匂いするよな」

歩「そだよね! 映画館の匂いする」

美咲「ポップコーンの匂いじゃない?」

歩「それだ!(笑)」

樹「俺、ポップコーン大好きなんだよね」

歩「私、キャラメルが好き この匂いは、ポップコーンだったらキャラメルかな?」

隆之「ポップコーンで甘い匂いは、キャラメルしかないだろ 塩だと甘くないし匂わん」

歩「...塩キャラメルかもしれないじゃん!」

隆之「屁理屈いうな(笑)」

樹「笑」

美咲「笑」



―スパイダーメン― 


なんだかんだで最初の目的地であるスパイダーメンのアトラクションについた。


家族からは、スパイダーメンだったら怖くないから大丈夫と言われた。だから、乗ることとしている。


俺は、並んでいるときにすごい緊張に襲われた。


どんな乗り物なのか。


乗っている最中は何があるのか。


すべて分からないことだらけだった。


美咲「大丈夫?」

隆之「..あぁ 大丈夫 大丈夫」

美咲「あれだったら 先生と一緒に残ってたら?」

隆之「いや、ここまで来てそれはないよ..」


美咲が、下を見ながら不安そうにしている俺の背中に手をやった。


歩「..........そうだよ 乗ろうよ!」


美咲「いや、でも無理してもよくないよ」


歩「.....たかゆきはどうしたいの?」

悲しそうに俺の顔を見ながらそう言った。


隆之「せっかくの思い出を何も乗らないなんてして終わりたくない」


美咲「それならいいんだけど 無理したらだめだからね」


隆之「ありがとう みさき」


歩「…」




そして、乗り物を前にし、緊張したが、「えぇい」と掛け声をあげ乗り込んだ。


キャストの人が笑ってる。 


こちらに不快な笑いではないのでプロだと思った。


俺は、事前に樹から乗り物を乗る時は横を譲るように頼まれていたので歩の横には座らず、美咲の横に座った。


意外にもその時間はあっという間だったが、小学生ながら疲れてしまった。


それは、怖かったというより自分が知らない土地に足を踏み入れたような独特な感覚だった。


次にジュラシックグランドに行くこととなり、これも家族から大丈夫と言われていたから乗ったが、これは怖すぎた。


最後ダメでしょ、人があんなところから落ちたら。


この間、買い物はせず、乗り物をメインで過ごした。

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