第42話 勝負3

「ふはは、俺に勝てるはずもないのに馬鹿な勝負をするものだ人間は、さてまずは人間をボコボコにして、その後は周りの奴らをボコボコしたやろうか。」

そう、独り言のように、周りを余裕そうにキョロキョロ見ながら、族長は呟いていた。なんで、この人急に一人で喋ってるんだ?完全に戦闘が始まった感じなのにまるで余裕そうに独り言を呟いてるんだ。てかなんで、誰も反応しないんだ?まあとりあえず、ぶん殴ってみるか。


僕は、全力でとりあえず、族長をぶん殴ってみた。まあこんなに余裕そうだし、それにルナの話的には高速移動かそれか空間移動的なものか良く分からないけど移動速度は速いから当たらないはず…………


思いっきり僕のパンチが族長の顔面にヒットした。

そして、族長は初めはゆっくりとその後加速しながら後方に飛んでいった。

うん?


「「「はぁ?」」」

その場にいた、僕とバレットさんと族長の野郎の声が重なった。意味が分からない。なんか弱くね、族長。普通にバレットさんの方が強い気がするんだけど。今まで戦ってきた人の中で一番弱いまであるきがする。


「貴様、何をした?」

意味の分からないことをバレットさんが呟いた。


「えっ?普通にぶん殴っただけですけど。」

そう僕が答えるとバレットさんは、ボロボロの状態で、こちらを見ながら


「そんなはずは、ないいくらなんでもさっき、さっき俺の言葉を発してそして、その次の瞬間だぞ。」

そう意味の分からないことを言った。次の瞬間は大げさだろ、そんな長い時間では無かったが、殴る時間ぐらい余裕であった。


「まぐれだ、人間、そうだ、俺が攻撃を受けるはずがない、次はない」

どういうことなのか考えているとそんな風に族長が叫んだ。風の音がやんだ。


「何を言ってるんですか?」

僕がそう言いながら剣を抜くと族長は、人間とは思えないほどに驚いた顔をした。


「何故だ、何故動ける。お前は何故動けるんだ。」

族長は焦りながら意味の分からないことを…………周りを見ると僕と族長以外の人間の動きが止まっていた。いや、ほとんど止まっていた。確かスキルに周りの動きを鈍くするみたいなやつはあった気がする。でも、こんな殆ど動いていない程度に速度を調整出来るわけがない、そんな強力なスキルは無かったはず。載ってなかっただけか?いや、族長の移動速度が、周りをすごく、ものすごく遅くしているとしても、じゃあ僕は何故動ける?あれ?もしかして僕のスキル保存って、それで肉体を保存したらデバフとか関係ないってこと?


「そういう、仕組らしいですよ。」

僕はそう言いながら地面を蹴った。これ、剣とか使わずにボコボコにして拘束出来るな。そう思って剣をしまい。族長の腹部に右ストレートを放った。予想通りというか、スキルにかまけていたのか、良くわからないが単純な身体能力は余裕で僕より下なようだった。


僕の拳で初めはゆっくりと、それから加速的に少し上に飛んだ、族長を僕は左足で蹴り飛ばした。


「まぐれだ、俺のスキルは最強なんだ、最強に決まっている。」

そう叫んで族長がスキルを使ったが、やはり僕には通じなかった。


そこからは、なんというか一方的だった。一方的に僕が攻撃していた。なんか僕が悪役みたいじゃないか。


「族長をやめてくれますか?」

そう僕がボロボロの族長に言うと心が折れたのか、族長が頷いた。いや、元族長が頷いた。


ナニコレ?僕が思っていたのとは、だいぶ、異なる結果が生まれた。


「貴様、何者だ?なんて強さだ…………」

そう驚くバレットさんに、


「相性が良かっただけと言うか?まあいや、なんか……」

結果全て丸く収まった、気がする。そう言ってそう返しているとバレットさんは気を失っていた。てか、バレットさんよくしゃべってたな、やばいじゃん。ボロボロじゃん。


ボロボロのこの里の元族長と騎士団長と無傷の僕。

「なんか、僕が全部の元凶みたいな光景じゃん。…………ルナ。」

とりあえず、回復要因のルナを呼んでおいた。




その後、元族長とドラ息子は牢屋にぶち込まれて、人質も救われて、民衆も落ち着いて、僕も牢屋に入れられかけて、どうやって勝ったのかをルナに説明して、まあそんな事でいろいろあった。


「徹、意味はよく分からないけど、どういう状況なのか分からないですけど、なんか勝ったってことですね。」


「なんか、勝ったってことです。」

そんな風な会話をしているとアインさんとサリさん?がやって来た。


「………とりあえず、この里で一番いい止まる場所を用意しました、ルナさん。」

そう多分サリさんが言った。あったことないけど、ルナの反応的に知り合いっぽいしそうだろう。それを眺めているとアインさんが話しかけてきた。


「ありがとうございました。徹。私が勝手に感謝するのは自由ですよね。それと、一つお願いがあります。」

そう笑いながら言ってきた。良かった、泣いてない。流石にひどかったと反省していたから良かった。


「ずうずうしくないですか?」

そう僕が笑いながら言い返した時に、見知らぬ妙に綺麗な人が少し何故かボロボロになっている人物が


「すいませんでした。私の夫と私の息子が。私はただ怯えることしか出来ずに、私に出来ることならなんでもします。すいませんでした。」

そう言ってきた。…………誰?


「ああ、うん?ああ、元族長の奥さんです。そういえば最近見なかった…………軟禁されていたらしいです。」

そうアインさんに告げられた。そうなんだ。そんなに対して興味はなかった。可哀そうだとは思うが、それなら


「僕より、僕らより里の人に謝ったほうが良いと思いますよ。僕らはほとんど通りすがりですし。」


「…………そ、そうですね。すいませんでした。」

僕がそういうとその人物は小さく謝りながら去っていった。とりあえず、一度落ち着く場所が出来たから、この世界の事とダンジョンの事と僕のスキルの事などを調べよう。そんな風に考えたりした。

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