第30話 世界樹のダンジョンでの成果2
「このダンジョンを作ったやつをぶん殴りたい。」
丸1日以上、本を見て回ったが、中身があったのは一冊だけだった。ああ、最初に読んだ本を含めると2冊か。見つかった1冊も読むことが出来なかった。見たことない文字だった。ルナさんも読めない、まあとりあえず、パクっておくことにして。後は、本ではないが昔の中央大陸の地図があった。
「結局、誰が作ったんですかね。あの本には、具体的な名前はないんですよね。誰がこのダンジョンの主だったんですかね?」
ルナさんは僕がぶん投げた本を燃やしながらそう言った。なぜ燃やしてるかって?それはイラッとしたからだ。…………あまりよくはないが、でもそれでもイラっとするから仕方ないだろ。
「分かんないけど、もう死んでるはずですよね。まあ、候補ぐらいはありますよ。」
記憶を辿った、確か創世神話が関係しているから、出てきた7人の天使の誰かだろう。ルシファー、サタン、レヴィアタン、アスタロト、マモン、ベルゼブブ、アスモデウス僕が知っているイメージでは悪魔の名前だが、まあ神から見たら悪魔なのかな?今考えても無駄か。どうせ、なんも分かんないし。
「徹、何ボーっとしてるの?とりあえず、ダンジョンから出ませんか?この宝物庫には何もないよ。魔法で探したけど隠し部屋とかはなさそうだし、徹も必死に探しても隠し部屋はなかったから。」
まあ、ここにいる理由は特にないな。だからと言って今、これと言って向かうべき場所は思いつかない。正解が分からない。そもそもこのダンジョン出たらどこなのかも分からない。世界樹のダンジョンだから世界樹の近くに出るのか?だったら、中央大陸で、エル帝国があった場所とは違うところに出るはずだし。
『世界を救え、そんな言葉は君には似合わない。世界を自分の思うがままに生きてみろ』
そんな幻聴が聞こえた。僕が思うままにか。僕の人生では大体脇役で、それでも名脇役ぐらいにはなれるか?いや、主人公になれなくても主人公を目指してみるか。どうせなら、自分の我が儘を通して、この世界にこの流れに反逆してみるのも悪くない。
「ルナさん、僕1個目標が決まったんですけど。とりあえず、ムカつくのでダンジョンを全部ぶっ壊して、神様とかいう勢力もぶっ飛ばして、エル帝国の皇帝陛下とかも、全員の邪魔をしてやりましょう。」
「分かりました。良くわからないですけどやってやりましょう。じゃあとりあえず、次は近くのダンジョンを目指す感じでいいですかね。」
「そうですね。それをしながら、僕の知り合いを探したり、いろいろ調べましょう。」
そう言って、魔法陣がある場所に向かった。ここの魔法陣は光ってなかった。
「これ、どうやって脱出するんですか?」
「魔力を込めればいいんですよ、徹。まあ普通に私がやるので気にしないでください。」
そういいながらルナさんは地面の魔方陣に触れた。すると魔方陣がみるみるうちに光っていった。
「すごいですね。ルナお姉さん。」
そういってルナさんの方を見ると彼女はこっちを見てきて
「もう、普通にルナでいいですよ。」
こっちを見ながら、そう言った。今いうことではない気がする。
「そうですか。ルナさん」
「ルナでいいですよ。」
ルナさんは真顔でこっちを見た。なんだよ、この美人の圧力、怖いよ。
「分かりました。ルナ。」
「よろしいです。」
そんなルナさんの声と共に魔法陣が完全に光、それと同時に僕らも光に包まれた。
気が付けば、森の中、木の下にいた。
木といってもそこらへんにある木ではない、馬鹿みたいに大きな木だ。よくわからないぐらい大きい、その大きさがパッと見て把握できないぐらい大きい木だ。
これが絶対に世界樹であることは間違えなかった。
「ルナさん、これ世界樹ってやつですか?」
いつもの癖でさん付けをしながら、そう呼ぶと少しご機嫌斜めなルナさんは
「ルナです。そうですね。私が知っているものより大きくなっている気がしますけど。多分、これが世界樹ですよ。」
デカいな、世界樹。世界樹って名前は伊達じゃないらしい。
「じゃあ、ルナさ……ルナ。ここが何処か分かりますか?」
「もちろん、分かりませんよ。私、ここら辺の出身ですけど、ここら辺のこと全然知りませんよ。」
即答された。森の中で迷子か。僕はどうやらよく迷子になるらしい。そうだ、地図をそう思って地図を開いてみた。そして地図を開いて気が付いた。
「地図って現在の位置が分からないと意味がないのでは?」
もちろん場所は世界樹の下だっていうことは分かっていたが、世界樹の下は、かなり範囲が広くて、世界樹の周りには4つの集落があり、『エルフの里』『竜人の里』『獣人の里』『ドワーフの里』つまりどっちか方面の世界樹の木の下ってことしか分からない。
「とりあえず、歩いていたら何処かにたどり着きますよ。はぐれないように進めば、なんとかどっかの里にたどり着きますよ。世界樹から遠ざかるように進みましょう。徹」
そう地図を睨んでいる僕にルナさんが言ってきたので、その言葉に従うことにした。
「そうですね、ルナさ……ルナ。はぐれないように進んでみましょう。」
そう言ってとりあえず歩き始めた。
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