第27話 ルナという人物2(ルナ視点)

目を開けた青年は、変だった。

変な人だと思った。まるで、この世界のことを知らないような口ぶりで、それで、境遇が状況が少し私と似ていた。(スキルというのは未だに良くわからないけど。)だから、何か少し気を許すことが出来た。


でも、でもここからは出れそうになかった。いや分かっていたのだ。彼が対して強くないことは、クマの魔族に勝てていないのを見ていた。でも、それでもこの空間で話相手が出来たことは嬉しかった。まあ、師匠意外とまともに話したことがなかったので、話す自信はなかったが、本で読んでいるから多分、大丈夫だ。



でも、徹と出会ってからだいたい1週間経過したころ、私は少し困っていた。

徹が何を考えているか全くわからない。きっかけは、徹が走る訓練を始めたのをなんとなく、手伝えることがあるか尋ねることだった。すぐに終わることだと思った。そう思ったのだ。

でも徹は何度も何度も休みなく走り続けた。私が見ている時で1日15時間は、私が見てない時も多分走っているから1日20時間は走っているだろう。異常だと思った。それに残り4時間はひたすら本を読んでいた。初めは異常な行動だと思っていたが、しばらくして気が付いた。この行動が、私がダンジョンに来た時と重なることに、それで、徹が絶望で塞ぎ込む前に、先に現実を教えて上げようと、徹に貸し出した部屋に夜中向かった。


部屋の中では珍しく話し声が独り言が聞こえた。いつもは黙って本を読んでいるのに少し不思議に思いつつ、なんとなく聞き耳を立てた。


「やっぱり、呼び方があったほうがいいからな、ルナさんって良い名前だと思うんだけどな、神秘的な月のイメージから月を使った名前がいいけど、でも月野がよぎるのは、いろいろな、だから月と関連しているルナっていい名前だと思うけど。でも、これ提案するとかは無理だし…………ああ、まあ不便だけどしょうがないか。」


そんな風な独り言が聞こえて、少しの運命を感じた。まあ、それで、ルナって提案されたら私は名前をルナにすることに決めた。それで、それで、徹に何も言うことが出来ずに去ってしまった。



徹に出会って2週間ぐらいが経過したころに、私はルナになった。それで、徹が魔法について聞いてくれた。私は思わずたくさん話してしまった。徹は興味がないのか、全く聞いていないのかどこかうわの空だった。それで、いきなり大きな岩を作れるかと意味の分からないことを言ってきたのでムカついて少し不機嫌になってしまった。…………そうか、徹はもういない、今の一人の私はそんな不機嫌にもなれないのか。



それから大体二ヶ月、徹はなぞに岩を持ち上げようと訓練を始めていた。まあ、全く持ち上がってなかった。私は、魔法の話をちょくちょくしていたが、興味を全くもってくれなかった。私は、徹の行動の真意を聞いてみることにした。


「私は、君の行動がずっと理解できてないよ。なんか重たい岩を持ち上げようとしたり、いきなり結界の外に出て、それでクマに結局ボコボコにされたり、何がしたいんですか?」


徹は、ただ、普通に

「僕が今したいことは、このダンジョンから出ることです。今すぐには無理なので訓練しているんです。」

そう言った。


「無理です。無理。私が二人いても多分無理なんですよ。私より弱い君が少し強くなったとしても無理ですよ。」

無理なのは分かっていた。だから、多少徹を傷つけても、後で大きく絶望するよりは、今先に……そんな風に思った。


「無理でもしないといけないんですよ。僕は外に出たいんですよ。ルナさんだって、外に出たいんじゃないですか?」

全く折れそうになかった。


それで私はムキになった。

「出たいですよ。400年ぐらい、ずっと、ここにおいていかれた時からずっと、でも無理なんですよ。…………じゃあ私も徹さんの修行手伝ってあげますよ。」

多分、もしかしたら諦めた自分と諦めていない徹。徹に少し嫉妬していたんだと思う。


それで、調子に乗って、徹がいくら攻撃してダメージが無いかって八つ当たりの様に攻撃をして、それで結果として死にかけて……(まあ多分私は死なないけど)、徹は私が、死ぬと思ったのだろう。まあだから結果そ、徹に助けられた。徹にダンジョンを一緒に攻略する様にお願いされて、まあ多分、そんな事が無くても徹には協力してたと思う。

「………分かりました。約束します。徹さんの訓練も真剣に協力します。それに私もダンジョンをクリアしたら少し行きたいところがあるので。そこまで協力しましょう。」

そんな風に言ったが、多分、師匠は母は死んでいるので、行きたいところも無くて、でもただ徹だけでも、まだダンジョンの外に出たら間に合うかも知れない徹だけでもダンジョンから出して上げたいと思った、そう思ったのに。



それから徹はどんどん強くなっていった。それでもまだまだだけど、少し勝てる希望がみえて来た。徹は相変わらず訓練ばかりしていたけど、徐々に仲良くなった。

それと徹の年齢を聞くと私より年下で、お姉さんをしたくなった。私は妹とか弟が欲しかったから嬉しかった。

私も訓練とか良く分からなかったけど、本に書いてある内容を参考に徹の訓練を手伝ったり、ダンジョンの下調べをしたりした。結構上手く出来たと思っていたが、徹にはクレームを入れられてしまった。

徹には過去の事や、この魔力がある限り死なずに魔力が異常に多く、魔力回復速度が異常に速い私の体質の事を言うべきだと思ったが、怖くて、言えなかった。


徹の訓練修行も終わり、ダンジョン攻略を始めた。

それで、初めは少し張り切って魔物をたくさん倒したりした。そのあと、はぐれた時、徹が帰ってこなくて心配になったり、運動神経がないとか徹に言われて、それで運ばれたりした。それを挽回するために、魔法で壁を無理やり破ったりしたが、逆に魔力を使い切って迷惑をかけたりして、それで、ボスに挑んで…………乱入されてそして、徹に騙されて、助けられて、そして今は一人。徹はもう……いや、でも。


さみしい、400年で師匠の母と別れた寂しさが落ち着いて来たのに、徹と出会って別れてそれでまた寂しくなった。徹……徹、ゆるさない。











しばらく、半年ぐらい。400年からしたら、しばらく座りこんでいた。それで考えた。


「今日も今日とて私は1人。」

そう返って来ない言葉を1人で呟いた。


「残念1人じゃ無いですよ。ルナお姉さん。半年ぶりですね。待ってくれたんですか?」

それは徹の声だった。私はただ泣きながら徹に抱きついていた。涙で良く前が見えなかったが、少し近視感を覚えた。でもそれは後で良い。


「徹……生きてて良かった。それで、私、徹に言わないといけない事があって、過去の事とかいろいろ。でもとりあえずまずは、私の行きたいところが変わりました。私は徹について行くことにしました。何処に行くか知らないけど。」

私は決めたのだ。徹は自分の運の悪さを怨むと良いと思う、運悪く面倒な私に目をつけられた事に。


「……僕も、1人でいろいろ周るのは大変だから、助けてもらいたいと思って頼もうって考えてたんですよ。」

徹はそう言った。


「それじゃあ、とりあえず徹何で全身ベトベト何ですか?私もベトベトになったんですけど、どうしてくれるんですか?」

そう少し笑いながら言うと


「そうですね、僕のドラゴン退治の自慢話でもまずは聞いて下さい。」

そう言って笑った声が聞こえた。

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