第23話 ダンジョン5

作戦を立てた。ルナさんと話して、それでいろいろ分かった。というか、ルナさんは常識だと思って言ってなかったことがたたあった。情報共有って大事。


「さて、ドラゴン君、正々堂々とズルをさせて貰おうか。」

なんとなく、そんな風に啖呵を切ってみた。


「誰に何を言っているんですか?徹。」

ボスがいる部屋のようなまあ、洞窟なのだが、その高い場所からルナさんがそう叫んだ。


「…………」

ルナさんのそんな言葉を無視しつつとりあえず、剣を構えた。なんか格好つけたかったのだ。


「無視ですか?徹。後で説教ですね。」

ルナさんの笑い声を聞きつつ前に進んだ。


今回僕は攻撃のみを考えればよかった。足場などのサポートや防御は全てルナさんに任せている。まあ、僕に防御は必要ないが、攻撃をうけると動きは止まってしまうからあったほうが楽だ。僕はルナさんが魔法はドラゴンに効かないと言っていたので完全にお飾りなのかと思ったが、正確に言えばドラゴンの魔法?攻撃はルナさんの魔法で防げるし、魔法はドラゴンに触れて数秒しない限り無力化されないらしい。


僕はまっすぐドラゴンに向かって進んだ。途中で飛んでくる炎の攻撃や、謎の隕石のような岩も無視して、進んだ。まあルナさんのサポートは完璧で攻撃は当たらなかったが、それでドラゴンの足元に滑り込んだ。


「まずは、鱗を落とす。」

近いのは、右足か。

魚と同じである。小さなドラゴンで確認しているから、大丈夫なはずだ。

剣を使って、ドラゴンの足の鱗をそぐようにして動かした。

うろこは削ぎ落せるらしい。よし。

作戦1は、まずは、機動力と魔力を奪う。


右足の鱗は削ぎ落したが、ドラゴンは上空に向かって飛んでしまった。

「ルナさん」

そう僕が叫ぶと


「分かってますよ。」

そんな声とともに僕は、上空に移動していた。距離がある転送魔法は、出来ないがルナさんの魔力が届く範囲なら一人ぐらいなら転送魔法で移動させることが出来るらしい。


真下にドラゴンが見えた。

うわああ、高いな。少なくとも50メートルはありそうだ。ドラゴンに落下しながら僕はそんなことを思った。この世界にも重力はあるらしいからな。


10メートル上から落ちてきた僕は、ドラゴンに大きな致命的なダメージを与えることは出来なかったが、ドラゴンのバランスを崩すには十分だった。

片翼になったドラゴンはバランスを崩して、下へ落下していった。もちろん僕も同じように下に向かってなかなかの速度で落下して…………。


「お帰り徹。」

気が付けばルナさんの隣にいた。


「回収どうもありがとうございます。では、次は、ドラゴンの右足を斬りにいきましょうか。」

そういって、再びドラゴンに向かって走りだした。

そんなことを繰り返してドラゴンのすべての足を切断した。まあ、鱗を削いだっていっても、かなりの強度があり、あほみたいに時間がかかった。


「ギャア、グァアアア」

ドラゴンはまだ余裕そうに咆哮をあげていた。


「ルナさん、大丈夫ですか?魔力とか。」


そう僕が言うとルナさんはこちらも余裕そうに、

「大丈夫です。それより、ドラゴンが再生する前にさっさと倒しにかかりましょう。」

それが第2の問題だった。ルナさんが言うにはあの、小さなドラゴン、ほぼトカゲもダメージを与えてもしばらくすると再生していたらしい。つまり、それのボスにあたるこいつは絶対に再生する能力がある。まあ、それには魔力を消費するって欠点があるらしいけど。


「まあ、僕の仕事はもうほとんど、ないですけどね。」

そう、僕の仕事は既に終わった。僕の仕事はドラゴンの機動力を奪うこと。


「では、残りは私が、」

そういうとルナさんは魔法の杖を構えてダンジョンの天井に向かって魔法を放った。

爆発力がある炎の球はボスがいる部屋の天井にぶつかると、崩れて、天井から岩の欠片が降って来た。ルナさんは魔法はドラゴンに通じないが、ルナさんの魔法によって発生した物理現象はドラゴンに無効化されることはない。


魔法を連続で放ちドラゴンを岩でがれきで埋めていった。ドラゴンも生き物だ。食べることが出来ずずっと埋め立てておけば時間はかかるが倒せる。…………はずだ。


ドラゴンもただで埋もれることはなく、初めは、落ちてくるがれきを魔法で攻撃していた。途中からは、攻撃対象を変えて、ルナさんに攻撃を仕掛けてきたので、僕が盾となり、攻撃をうけた。


しばらく攻撃は続いたが、ついにドラゴンも力尽きて、完全に動かなくなり、がれきの下敷きになった。



しばらく警戒していたがうんともすんとも言わなくなった。


「さて、待ちますか。」

瓦礫の山を眺めながらそう言った。


「徹ってなんというか、ぶっ飛んでますね。」

ルナさんは、少し疲れた表情でそんなことを言っていたが、ルナさんにだけは、言われたくなかった。


「まあ、勝てれば、何でも良いんですよ。文句ですか?」

完全に悪役のセリフだった。


「うん?まあ、私1人だと倒せ無かったので文句は言いませんよ。」

なんかこう言うのってフラグって………


強烈な光が上がり、爆破して瓦礫が消え去った。

そしてそこにはドラゴンがいた。無傷のドラゴンがいた。


「ルナさん、逃げませんか?」

これは無理だ。なんだよ、意味わからないよ。


「徹、私も賛成です。」

そうだよな、そう言ってルナさんを見た時に僕とルナさんの間に人がいた。


人がいたのだ。


「欲が足りないな、お前ら」

その言葉が聞こえた次の瞬間にドラゴンが肉塊になり、そこに謎の人物が立っていたい。ああ、これは分かる絶対に敵だ。そんな気がしてならない。


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