第16話 エルフと訓練と 1
1日目
何か訓練をしようとしたが、何をすれば良いか分からない。適当に期間を1年と考えたが、少し長すぎる気もする。といいうか1年あれば、地上に大きな変化がありそうである。でも、どうせ、このまま挑んでも熊を倒せない僕にどうすることもできないので、仕方ない。クマをあっさりと倒せるエルフさんに頼んで助けて貰っても良いが、足手まとい一人を抱えて400年クリアできていないこのダンジョンを攻略できるわけはないので訓練するしかなかった。まあ、その訓練の方法の検討がついていないのだが。
今までしていた訓練は、基礎体力をつけるためのランニング、やる理由は良くわからないが素振り、あとは実戦形式の打ち合いを含んだ訓練。この3つか。とりあえず、走ってみるか。
そんなことを思いながら、なぜか広がっている草原を眺めた。てか、草原に気を取られていたが、ダンジョンの中にまあままな大きさの建物があることもおかしい。それになんで廊下、壁がなくてテラスみたいになってるんだろうか?ノリはマンションとかと同じなのだろうか?草原の広さとかそういうのを踏まえると、まあまあ広いだろしこの建物。まあとりあえず、下に降りるか。ここは2階か、3階だから、階段を探して…………
「そっか、僕ここから飛び降りても問題ないのか」
だから、飛び降りて下に行くことにした。
ズドン…………
全身に凄まじい衝撃が走った。なるほど、これは痛い。そして軽く地面が凹んでいた。これは、地面が凹むからこれからは普通に階段で降りよう。
「えっ…………あの?えっ」
大きな音に驚いてエルフさんが出てきたのは申し訳ないと思った。
軽く謝りつつ、草原を見渡した。
とりあえず、良くわからないので全力で走ってみることにした。
「…………ああ、なるほど、これ全く疲れないんだ。常に体力が満タンなのか。」
走る意味がない気がしたが、とりあえず、走り続けてみた。
「僕は、何してるんだろうか?」
ふと冷静になった。そもそも僕のこれ以上の身体能力の向上なんてあるのだろうか?肉体を保存されているんだから、あれ?これ意味ない。いくら走っても僕の身体能力は上がらない…………あれ、これつんでる?
「違うな、動きの最適化すればもう少し速く走れるようになったりするのか?」
速く走れればいいわけではないが、動きの最適化で能力を向上出来るなら、それは、他の戦いでも同じことがいえるはずだ。
「あの……、何を徹さんがしてるか分からないですけど。何か私に手伝えることありますか?」
エルフさんは…………名前あったほうが呼びやすいな…………まあいいや。そんな風に僕を眺めながら呟いた。
「それなら、僕が走るタイムを計れたりしますか?」
「…………うん、えっと。よくわからないですけど、出来ると思いますよ。」
そこから僕の徒競走が始まった。
それから1週間後
「えっと、徹さん。もうこれ以上タイムは縮まらないと思う。」
そうエルフさんは呟いた。最近は勝手にルナさんって心で呼んでいる。なんかルナっぽい見た目をしているからで、特に深い理由はない。
1週間で僕の走る速さは打ち止めになった。それでも多少は速くなった。
「そうですよね。まあでも初日より動きが良くなったので、とりあえずよしとしましょう。」
肉体能力は恐らく上昇しないが、動きを良くする事が出来ればもう少しなんとかなりそうである。まあでも簡単に熊を倒せる気がしなかった。
「えっと、結局何がしたかったんですか?私不思議なんです?徹さんの能力が」
ルナさん(仮称)がそういった。確かに説明していなかった。
「僕のスキルは、保存するスキルです。今自分の自身を保存しているます。」
そう簡潔に説明した。
「???よくわからないです。」
ルナさん(仮称)はそう言って首を傾げた。
「ああ、スキルの詳しい説明をしますね。」
ルナさん(仮称)は再び首を傾げた。
「だから、スキルって何ですか?私は魔法のことを聞きたいんですけど?」
「うん?」
スキルの魔法っていうのがあるのだと思っていた。本には載っていなかったから珍しいスキルなのだと思っていた。違うのか。
「うん?」
「ちょっと、聞いてもいいですか?魔法のこと」
とりあえず、魔法のことを聞いてみることにした。
「魔法のことですか?分かりました。説明しますね。」
…………聞いたことを後悔した。
それから1週間後
「それでですね。徹さん。魔法における等価交換性を一時的に破る方法について理解しましたか?」
全く理解していなかった。でもスキルとは違う気がした。あれからずっと、ずっと魔法の話をしてくる。すっごい寝てる時間以外話してくる。話を止めようと思ったが、あまりに楽しそうに話しているので、止めれなかった。だって、ルナさん(仮称)は400年ここで話し相手がいなかったのだから。まあ聞いてあげないといけない気がした。
「その、ルナさん…………あっ」
思わず仮称を言ってしまった。
「ルナさん?」
彼女は首を傾げた。
「…………なんかルナさんっぽいから…………」
「えっと、じゃあ、これからルナを名乗りますね。」
「…………」
世界で多分5本の指に入るぐらいには奇妙な会話だった。
「えっと、それで徹さんなんか聞きたいことあったんじゃないですか?魔法のこと。」
そういってルナさんは、ニッコリと笑った。まあ、魔法の話は難しくて、良くわからないし、僕には魔法を使うことが出来なかったので、どうせ聞くなら有用なことを聞きたいと思う。
「身体能力に関する魔法の仕組みを教えてくれませんか?」
僕のスキルは、特別な条件で相手の妨害をするか、武器を保存して戦うか、自身の身体能力で戦うかだ。魔法は使えなくても何か参考になるかもしれない。
「仕組みですか?えっと。身体能力を強化する魔法は、主に二つの方向で強化します。一つは、肉体そのものの能力をを上昇させるものです。主にこの魔法が主流だと思います。でも、この魔法を使っても身体スペックのうち20%~30%しか引き出せないのでもう一つの方法は、さらに身体能力を上げるために、身体能力の引き出せる上限を100%まで引き出して、それで破壊された細胞を再生するって方法です。まあこれは、ほとんど使われないですけどね。分かりましたか?」
えっと、つまり
「つまりは僕の身体能力の上限を10ってしたら、いつもそのうちの2~3だけで動いていて、1つ目の方法は、身体能力の上限を20にして4~6の力にするもので、2つ目の方法は身体能力の上限10まで力を引き出すことが出来るようにするってことですか?」
「そういうことです。それで、その具体的な魔法式の方法についてですね…………」
ルナさんの話をBGMにしながら、考えていた。
身体能力の限界まで引き出すことが出来れば、もっと基礎能力を上げることができるのではないだろうか。僕は、どんなに筋力を使っても細胞が破壊される心配はない。でも、どうやって身体能力を限界まで引きずりだす?普段は恐らくリミッター的なものがあるはずだから、どんなに頑張っても無理だし…………
「あのルナさん。僕に身体能力強化の後者の方法を行うことは出来ますか?」
試しに聞いてみた。
「徹さん、話聞いてませんでしたね。身体能力強化魔法は他人に行うことが出来ませんよ。徹さんも魔法が使えればよかったんですけどね。スキルって良くわからないものしか使えないんですもんね。」
彼女は少し頬を膨らませながらそう言った。めっちゃ美人だな、この人。
潜在能力を引き出すのは火事場の馬鹿力な感じだから…………あっ。
「ルナさんめちゃくちゃアホみたいに重たい物体作れますか?」
そういうと少しムスッとしながら
「普通の石であれば大きな石を作ればいいので、作りますけど?何でですか?」
「それを持ち上げようと思って」
そう僕が言うとルナさんは目を見開いて
「だから、何でですか?」
そう言うルナさんを必死に説得して魔法で多分500㎏(体感)ぐらいの石を岩を出して貰って、それを持ち上げる訓練を始めることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます