第5話 異世界王宮生活の始まり4

あれから2週間経過した。身が危険さらされるような出来事は起こらなかった。なるほど黒幕や何か月野をあのようにした人がいるわけではなく、どうやら元々月野の野郎はああいう性格で僕をボコボコにして殺しかけたらしい。まあ同じぐらいボコボコにしてやりたいという殺意を必死に抑えつつも、少し復讐をするためにはどうすれば良いか考えることにした。まあ普通に決闘とかそう言う系で正面から勝てれば、最高に気分が晴れるんだけどな…‥ボコボコにされたからな。


そもそも一緒に訓練しているクラスメイト意外と会うことが無かったので月野と会う

はずもなかった。後は、この国のことは何も分からなかった。まあ怪しい部分はあるが、でも確証は無くて、それにアンナさんやシャーリー姫、アルベルトさんなんて良い人もいるのでますます混乱を極めた。


2週間で変わったことは体力づくりのランニングとか素振りが終わり、実戦形式での稽古が始まったことぐらいだろう。それで、自分の剣術の才能の無さに軽く絶望した。なるほど、これは剣術は無理だな。

あと二週間で変わったことは、シャーリー姫と仲良くなったぐらいだろう。


「徹、また異世界の話をするのだ。」


「まあ、別にいいですけど、何の話をしたんでしたっけ?」

彼女は、僕に異世界の話を僕が元いた世界の話を聞きに来た。彼女にこの国のことを聞いても大した情報は得ることが出来なかったが、まあ命の恩人らしいので、悪く扱うことなんて出来なかった。


「かがく?かがくってやつの話をしていた。」

まあ強いて言うなら、この世界は科学と呼ばれる分野がほとんど発展していないということが分かったのは収穫だろう。まあ分かったところで、一般高校生程度の知識でどうにか出来るほど科学のレベルは低くないのでこの情報がどれほど有用化は不明であるがな。


「ああ、確かテレビの話をしましたよね。」


「うむ、てれび。映像の移る不思議な箱のような板のようなものだろ、話を聞いたぞ。」

まあ、その通りだが、こう聞くと面白いな何か。


「えっとあの、お話中失礼します。徹様、シャーリー様。シャーリー様、ここに来た目的を忘れてませんか?部屋の前で仰ってたじゃないですか。」

そう笑いながらアンナさんが呟いた。


「あっ、そうだ、徹。私の騎士としてパーティーに出ない?」

そうシャーリー様が言った。


「パーティーってあれですか?今度僕ら異世界の人たちも呼ばれてるあれですか?」

今度、何かパーティーがあるらしく、宗教儀式など様々なことで忙しかった皇帝陛下が出席するらしい。そんな話を聞いた。でも、パーティーとか言われても礼儀作法とか知らないし、少し行きたくなかった。


「そう、それで、私の騎士として出ないか?」

騎士が何かわからないが、多分。


「騎士にしては僕は弱いので他の人に頼んだほうが良いと思いますけど。」

そういうと、シャーリー様は拗ねた。なんでだよ。


「徹様、シャーリー様は頼める人少ないんですよ。自由すぎて相手をしてくれる人は少ないですし。お願いできませんかね。」

そう小声でアンナさんが言った。


「でも、騎士ですよ。てか騎士って何ですか?」

小声で聞き返すとアンナさんは少し悩んでから


「私も良く分かってないんですけど。でも、たぶん強さとかは要らないと思いますよ。私が結局二人の近くにいれば問題ないので」

まあ、命の恩人らしいし、てかどうやって僕を助けたのかスキルの本で探しても検討がつかないんだよな。


「シャーリー様、騎士ってやつするので機嫌をなおしてください。」


「最初から、そういっておけば良いのよ徹。」

凄まじい切り替えの早さだった。まあ、妹がいたらこんな感じなのか、シャーリー様の我儘は別にそこまで嫌ではなかった。


「それはもしわけございませんでした姫。」

そう適当に答えた。


「くるしゅうないぞ、徹。あとアンナお菓子食べたい、食べるでしょ徹も」

そうニコニコ笑顔で姫は言った。







そんな1連の話を優斗の部屋に来た時にすると彼はこっちをじっと見て

「徹、いろいろ初耳なんだけど、なんで死にかけておいて、そんな割とドライな反応なわけ?てか、いつの間に皇女と知り合っているんだよ。まあ俺も、第2皇女と知り合ってたけど。」

それはまあ奇遇だった。


「それで、皇女からなんかこの国のことでも分かった?まあ逃げ出すなら、全員でダンジョンってところに行く訓練の時が逃げれると思うんだけど。」

そう優斗に言うと優斗は僕を静止させた。


「まて、なんでそんなスッと話を進める、死にかけてるほうをまだ俺は消化出来てないんだよ。何かあるかもって思って黙ってたところはまあ辛うじて受け入れるとしても、徹の態度は死にかけた人の態度じゃないないだろ。」

そう言われてもボコボコにされていた時は、かなり気を張っていたから痛みとか、生死を気にする余裕はなかったし、起きた時には傷は治ってたし。


「まあ、生きてるし今、痛みや傷を引きずってない所が大きいじゃない。実感が湧かないから、殺意とか敵意が薄くなるんでしょ。でも真っ当な方法でどうにか仕返しはしてやりたいとは思ってるよ」


「……ああまあ、もういいよ。無駄な押し問答になりそうだし。それでダンジョンで逃げるって話だっけ。まあ、タイミング的にはそうだし、この国が怪しいのは間違いないんだけどさ、でも良い人もたくさんいて、迷うよな。」

優斗はそう少し悩みつつ呟いた。問題はそこなのである。ああ、めんどくさいな。全員悪役だったら良かったのに。


「とりあえず、一旦保留しておこう。それじゃあ、あと1個、僕はどうやったら月野に勝つことが出来ると思う?」

優斗にそう尋ねた理由は、この人物の成長速度が異常だからである。この2週間で、アルベルトさんと武術をかなりしている人といい勝負が出来るまでに成長しているからである。何かいい案でもあるかもしれないと思ったからである。


「言いずらいけど、無理じゃね。徹のスキル次第だけど。まあ君が何も言わないってことはたぶん対して戦闘に役立つわけじゃないんでしょ。どんなに頑張っても素の身体能力で闇ってスキル攻撃をよけて、自動防御より速い速度で攻撃って聞いた感じ無理でしょ。」

知ってた。やっぱり正面からどうにか出来る気がしなかった。というかまああの形が変わる闇の塊をどうにかしなければいけないのか、無理だな。


「やっぱり、なんか暴力なんて野蛮なものじゃない、別の手段を考えるしかないか。まあ、これは最悪どうでもいいから、おいておいて、他の話をしよう。」

やり返してもただ気持ちがスッキリするだけなので、最悪そんな事が出来なくても良かった。


「じゃあ、徹。最近真面目な話ばかりしていたから、雑談でもしてみないか?」

確かに、それは大賛成だった。


「それは良い提案だと思うけど、そうだな、パーティーって人生で行ったことあるか?」

パーティーの攻略方法を知りたい。


「俺があるように見えるか?パーティー経験。」

知ってた。


「……てか、あるやついるのかな?パーティー経験。」

パーティーとか普通に生きてて遭遇する場面が思い浮かばない。


「いたら、その人の事少し俺尊敬するは」

それは大いに賛同した。


そんな風にしばらく大した事のない話をしばらくして部屋を出た。過保護な親か何かなのか知らないが、まあ月野の事があったからだろうが優斗は僕を部屋まで送り出してくれた。まあ、マジで自衛能力ぐらいは欲しい物だと思った。

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