第3話 開発の裏話


 全く、新しい技術の開発というものに、私は携わった事はないのですが、そういったことを行っている人とは、仕事をしたこともあり、その上司と言われる人と話もしたことがあります。


 随分、古い話なのですけど、当時、新しい物を開発するにあたり、1人の社員をつけるだけでも、開発費用は、年間4000万円が掛かると聞きました。


 金額については、その考える商品によって、金額は大きく変化すると思います。


 きっと、この4000万円という金額を聞いて、実際に開発に携わっている方々なら、安いとか高いとか、反応は千差万別だと思います。


 そんな金額を掛けて、完成しませんでしたとなったら、年間1億円程度利益を出している会社なら、大きな痛手となるでしょう。


 この利益というのは、頂点に立つ企業ほど高く、そうでない企業ほど利益は出てないです。


 そして、ライバル企業が多い場合は、業界トップに立つ企業が圧倒的に利益を出しており、2位と3位になると大きく差を離される傾向にあります。


 その違いにいては、その業界の性質もありますし、私より詳しく説明してくれれている書物が多々出ておりますので、詳しい事を知りたい方は、そちらをご参照ください。




 そんな中でも会社として、新たな開発をおこなって、失敗するようでは会社として成り立っていかないでしょう。


 それを判断する直属の上司、そして、それを決済する役員というのは、その見極めを強く要求されます。


 その決済書類の判断で、数千万円なり、数億円の利益を投入するのですから、失敗しましたでは済まされないでしょうね。


 引責辞任も有るでしょうけど、それだけで終わらず、自宅の売却なども有ると聞きます。


 役員ともなったら、万一の際は、今まで手に入れていた給与も賞与も、その時の為に費用の返還を行うために、預けているのだと聞いたこともあります。


 これについては、事実関係は定かではありませんが、そんな噂話を、私が聞いた事があるということは、失敗した会社の役員には、そんな責任の取り方があるのかもしれません。


 そう考えると、役員報酬というのは、その判断に会社の命運が掛かり、社員の雇用を維持するために決済をする。


 そんな重圧の中、印を押すのだろうと思えば、大きなプレッシャーを感じつつ行っているのだろうなと思いますから、役員報酬の高さは、その保険のような役目もあるのかと思います。




 それに比べると、世の中にある物で、それを客先の仕様に合わせて作るような物だと、気持ち的には楽なのかもしれません。


 見積もりさえ間違えなければ、客先から開発費は取れますし、既存の技術を繋ぎ合わせて作るのであれば、仕様に合わせ、納期に合わせて作るのなら、決済をする役員よりは、気持ちは楽かもしれません。


 でも、実際に製品の開発を行うと、思わぬところから、トラブルが出てくることがあります。


 私は、1円に満たない抵抗1個をケチったおかげで、不具合を発生させた記憶があります。


 コストに対する追求をしていて、なんで、その抵抗を外してしまったのか、後で大きな後悔をしたことがあります。


 そんな中、見えてこない部分というのは、本当に嫌なもので、仕様を満足できるものと出来ないもの理由が見えてない時は、設計中はとても不安に思うものです。


 実際にサンプルを作った時、良い時と悪い時の理由が見えてないことが、開発時間に大きな差を生みます。


 それが経験の違いで、新人とベテランの違いが出ると言われておりましたが、私が管理を任された時は、新人とベテランの差を埋めろと命令されて、困った覚えがあります。


 結局、最後に行ったのは、設計資料のまとめをしっかりすることになったかな。


 要するに、過去の資料から、トラブル解決を、どうやったかをまとめて、それを新人にも伝えられるようにすることで、過去のトラブルに対して新人が同じ失敗をする事は、少なくなりました。


 設計資料のまとめ方も、この通りにまとめるようにと決めて実行させれば、同じようなトラブルを何度も行うことはなくなります。


 やはり、会社というのは、整理整頓がしっかりできる会社は強いです。


 整理・整頓・清掃・清潔・躾


 工場では、5Sと言われている内容ですけど、これが、徹底されている会社は、利益も上がっているように思えます。


 整理整頓ができていると、探す手間が省けます。


 使った資料は使い終わったら元に戻す。


 当時は、とても苦痛でしたが、それを行う事で、誰もが情報の共有もできるし、無いから探す時間が無くなります。


 探す時間というのは、非常に勿体無いので、必ず使ったら使った場所に返すようにする。


 これだけでも、時間短縮はできると最近は、実感させられております。

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