第8話 行き先はヘブル連邦

さらにその原動機をエネルギーとする炭鉱やオイルの資源地でもあるため、資源の輸出などで経済を回していると言われるほどのこの世界では近代国家と言える。


しかし10年ほど前にファシズ共和国内での政権交代に伴い国家主席である【ベニートム】である。彼自身は社会主義の実現を理想と掲げファシズ共和国の強みである工業分野において多額の国家予算を用いて軍事を整えた結果。


竜騎士の機動力を持った戦闘機。騎兵隊を物ともしない戦車。海竜の如く水中を制圧する潜水艦。そしてサイボーグの如く愛国心を持ちベニートムの為なら死さえ恐れない兵隊、通称【機械鎧隊(オートメイル隊)】と言われる。


騎士や戦士に武道家と言った白兵戦最強の軍団マーロ帝国。


魔法使い、魔導師、錬金術師の個人の力が絶大なる要塞であるリブテン王国。


そして、それに続く第3勢力と言われる戦闘機、戦車、潜水艦と近代兵器国家のファシズ共和国と言われる。


そうしている間に馬車は王宮に辿り着くとマーロ帝国の象徴とされる城がそびえ立つ。城と言っても僕の城のイメージとはかけ離れていて、華やかな城って言うよりか、煉瓦を積み重ねた円形の要塞って言う感じだ。


「シリア・ローズ・アントだ。急な事で申し訳ないが皇帝バルガ様に謁見をさせて頂きたい。」


「はっ!畏まりました!ご案内致します!」


表門には門番が2人槍を持ち監視をしていたがシリアさんは何度も城に出入りしているのだろう。最早、顔パスに近い感じで門番から即座に城の出入りを許可されて、シリアさん、爺やさん、アーニャさん、僕の順番に開かれた門を潜り城の中へと足を運ぶ。


城の中は全てが石垣や煉瓦の造りでその中にも歴代の皇帝やマーロ帝国で活躍した英雄の彫刻が彫られている。さらにはマーロ帝国の歴史が分かる絵画や何かに伝わる宝石や装飾品なども飾られており、マーロ帝国の強大さがよく分かる。


そして僕達は城の中へ案内されてから石垣の階段を上った先に一際目立つ雄々しき勇者の姿を描いた天井まで伸びる大きな扉があり、そこにも門番が2人立っておりシリアさんの顔を見て理解したのか扉の前に居る門番が大きな扉を開ける。


扉を開けた先に神々しく玉座に堂々と座り足を組み待っていたぞと言わんばかりに無地の羊毛の色した簡素なチュニック。高貴な色を示す紫の長方形のウール。数え切れないほどの宝石が埋め込まれた王冠を身に付けたマーロ帝国の皇帝バルガ様だ。


シリアさんは皇帝バルガ様の目の前まで進み近くまで来た所で片膝をついて頭を下げる。僕もシリアさん、爺やさん、アーニャさんに続いて見様見真似だけど片膝をついて頭を下げる。


「シリア・ローズ・アントでございます。皇帝バルガ様。私の急で無粋な訪問にお迎え頂き大変感謝しております。」


「うむ。ローズ・アントよ、世もお主が今日か明日にでもここに来るのではないかと思っておったぞ。」


「恐縮でございます。」


「お主が此処に来たと言うのはネールランド連合国とファシズ共和国との争いについてか?」


「はい。私事でございますが、ネールランド連合国には昔からの友が居まして、何度か遊びに行く機会がありましたが、とてもではありませんが、犯罪テロ組織を匿うような国ではないと思っている所存です。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る