第6話 切り裂きジャッキーの最期

何よりも頭には黒く2本の触覚、お尻には黒く長い尻尾、背中にはカラスのような漆黒の2つの大きな翼。


それは、まるで神様に反逆して堕とされた堕天使みたいな物にも見える。


「捕まえるぞ!」


「おう!」


「ま、待つのです!」


武装した警察官がすぐさま、アイリ・ウォーノスを捕らえようとするが次の瞬間に警察官の2人が力なく倒れこむ。1人は胸をアイリ・ウォーノスの手で貫かれ、もう1人は首をハネられて頭部は中に舞い無造作に落ちる。


2人からはおびただしい量の出血が溢れ出しアイリ・ウォーノスは腕を引き抜いて腕に着いた警察官の1人の血をペロリと舐める。


「なるほど。確かに、あの水を飲んでおいて正解のようだった。」


そしてアイリ・ウォーノスは姿、形だけではなく声までも禍々しく悪魔に取り憑かれたような声を発しニタリと笑う。


「どうやら、これだと捕まえる方が大変そうだけど?」


シリアさんは機械型の薔薇の花を右手に取ると次にカリファさんの機械型の狼がやってきてカリファさんは手に取りながら言う。


「仕方ありませんわ。抹殺より拘束の方がテクニックがいりますのよ?だが、話せるだけには生かしてくださいね。」


次に爺やさんのもとに機械型のゴリラがノソノソとやってきて右肩に乗ってくる。


「お嬢。ワシも手伝わせて頂きますぞ。コレはお嬢の足元にも及ばぬが少し強敵と見受ける。」


「助かるわ爺や。」


僕は宙に飛んでいる機械型のカブトムシであるビートを右手に取る。


「アイリ・ウォーノス。貴女はあまりにも罪を重ね過ぎた。たとえ、どんな理由があろうと人を殺すというのは、残された人達のイタミを感じるという事だ。」


「黙れ!お前みたいな奴に何が分かる!愛する夫と理不尽にも奪われただけでなく、愛する夫との分身とも言える子供まで奪われた!」


「……」


「それに事故によって私は2度と子供が出来ない身体になり女としての役割を終わったのだ!その痛みが分かるのか?!それを望まない妊娠をしてお腹の子供を殺すのなら、あの女共が殺しても文句は言えないはずだ!!」


「確かに……お前の言いたい事は分かる。だけど……だけど、自分の過ちを後悔して苦しい十字架を背負って生きている人にこれ以上の罰を与えるのはお前じゃない。」


「うるさい!うるさいッ!!お前の言う事は綺麗事を並べて現実から目を背けているだけに過ぎない!!理不尽を悲しみをぶつけようのない気持ちを……お前なんかに分かってたまるカァァアアっ!!」


怒りの込み上げた悲痛な叫びに苛立ちによる苦しみの咆哮をあげるアイリ・ウォーノス。今の彼女には、どんな言葉もどんな行動も全て拒絶してしまうほどに壊れてしまってる。


今、僕に出来る事は慰めの言葉でも、慈悲の行動でもない。彼女から苦しみを解放する事だ。


だから……僕が彼女の介錯をするしかない。


「ウォォオオッ!コロス、ミンナ、コロス。」


「「「「リリース-解放-」」」」


僕、シリアさん、爺やさん、カリファさんは其々の武器を解放する。


僕はビートは形を変えて木刀の形をしたダイヤモンドのように硬く頑丈な杖である金剛の杖を手に持つ。

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