第88話 ほかのダンジョン


「にしても、中々衝撃だよね。ラ・ノーンがまさか生きているかもしれないってさ・・・・・・」

 アリスは言う。


「もしラ・ノーンが生きていたら、アリスちゃんインタビューしちゃえば?それだけでも一冊本が書けるわよ」

 セレスティーヌの軽口に、アリスは柔らかく微笑む。


「でも、これで振り出しに戻ったわね。ノーンチップの謎も分からずじまい。明日からどうしようかなあ?」

 ミオが深いため息をつく。そりゃ、ミオは誰よりもダンジョンクエストに張り切っていたからな。


「人多すぎてダンジョンクエストは成立しないような状態だし・・・・・・うう~、これじゃ私たち失業だよ~」

 珍しく泣き言を漏らすミオ。


 そんな俺たちの様子を見て、 ソフィアが唐突に口を開く。

「あのさ・・・・・・わたし、さっきからちょっと思ってたんだけれど・・・・・・他の国のダンジョンクエストに参加は出来ないかな?」


 セレスティーヌはソフィアの言葉を、神妙な様子で受け止める。


「そうねえ・・・・・・確かに、レイの【瞬間移動】があるから、他国のギルドにもダンジョンにもひとっ飛びだからね。でも、そもそもリーティア王国ギルド所属の私たちが、他国のクエストをそもそも受けれるかだけれど」

「アリエスさんに聞くのが一番じゃないか?で、もしダメだった場合、こっそり他国ギルドにも籍を作ればいいだろ」

「レイ、もうあんたはすぐそんな発想に・・・・・・でも、それぐらいしかすることはなさそうね」


 アリエスさんのところに皆で行くことになるグレートパーティであった。

  


 翌日。他国のギルドクエストに参加するという案を、アリエスさんは二つ返事でオーケーしてくれた。


「いいですよ」

「ありがとうごさいます、アリエスさん・・・・・・!!」

 平身低頭の俺たち。


「いえ、そんなことは及びません。というかそもそもギルドメンバーの籍は、万国共通ですからね。原則、どこの国のギルドでもクエストの受注は可能ですよ」

「え、そうだったんですか?」

「はい。それに、私たちとしても他国のダンジョンクエストに参加してもらえるのはありがたいというか・・・・・・」


 そう言うとアリエスさんは、受付カウンターの上に、どさりと紙の束を置いた。


「・・・・・・なんですか、それは?」

「これはですねえ・・・・・・リーティア王国の近隣諸国ギルドからのダンジョンクエスト依頼用紙ですよ」

「ものすごい量ね」

 セレスティーヌが呆れたような口調で言う。


「ええ。あまりにもリーティア王国ダンジョンに各国のギルドメンバーが殺到するものですから、とうとう他国のダンジョンクエストの依頼が、当ギルドにも来るようになりましたわよ。ですので、依頼自体はここでも出来ますからね」

 アリエスさんは言う。


 まあ、そういうことで俺たちは他国のダンジョン攻略クエストも受注することになった。

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