第74話 今日もダンジョンクエスト
「さ、今日も頑張ろうー!」
ミオのかけ声で、今日もダンジョンクエストが始まる。
本日はごく普通のモンスター討伐クエストだ。自動式鎧武者――魔力によって自動で動き、敵を攻撃する空っぽの鎧のことだ――が大量に設置されているゾーンが発見されたという。これらの鎧武者たちを、いかなる手段を用いてでも排除せよ、とのクエストだ。報酬は十万リルド。
「鎧武者たちがいるのは、ここから歩いて、四十分くらいね」
セレスティーヌは地図を確認しながら伝える。
「どうする?【瞬間移動】で、ひとっ飛びに向かうか?」
俺の問いかけに、ソフィアが返す。
「いや、歩いてぼちぼち行こうよ。道中に思いがけないお宝との出会いとかあるかもだし。それがダンジョンクエストの醍醐味ってやつでしょ」
セレスティーヌもミオも無言で頷き、賛同する。
ということで俺たちは一歩一歩ダンジョン内を歩き出す。
ダンジョン内に一番多くあるのではないかと思われる落とし穴トラップをかいくぐり、浴びせられる矢の嵐を火炎魔法で強引にすべて焼きはらってしのぎ、そこそこ強い野良ゴーレムを、ミオとセレスティーヌの剣術と魔法の華麗な連携で叩き潰したところで、目的地まであと半分ほどの距離になっていた。
「ふう・・・・・・相変わらず、ダンジョンは気が抜けないわね」
ミオは少々疲れた様子だ。
「あと半分ってとこね。どれ、私たちはだいぶ働いたことだし、ここからはレイにお任せしましょうか」
ええっ・・・・・・。いや別に構わないけれどさ。
すぐさま、俺たちは「ダンジョンオーク」の軍団に遭遇する。これは、通常のオークとは違い、ダンジョンの瘴気をたっぷり吸い込んで変質してしまったオークだ。悪しきオーラを放つ。
「それ【光雷旋風】!」
光属性の強力な風の刃が、ダンジョンオークどもを瞬く間に切り裂き、葬り去る。
「さーて、俺の本気を見せるぞ~」
今の攻撃が爽快で、ハイな気分で俺は進む。 張り巡らされたトラップを回避して、破壊する。
「ミオももう、トラップには引っかからないよな」
「そうだけれど、なにか?」
「いや、この前はやたらとトラップに捕まっていたからさ」
「もう!そのことは言いっこなしよ!」
「はいはい。ホント傑作だったよな。ネットに捕縛されて宙ぶらりんになったときとかさ。ほら、あんな風に」
と俺は、ダンジョン廊下の端っこにいた、まんまとトラップの餌食となり、網に絡め取られて宙ぶらりんとなった人を指さす。
「ミオもあんな感じだったよな・・・・・・てあれ?」
おいおい待て、マジで人が捕まってるんじゃんか。
「レイ、あの人助けようよ」
ソフィアもそれを認識して、俺に呼びかける。
「もちろんだ、【火炎弾・レベル1】」
俺の手の先から火球が放たれ、トラップを留め具を破壊する。ネットの拘束は、解かれて、その人物の身体が宙に解放されて、どさりと地面に落ちる。
俺たちはその人のところに駆け寄る。
「あ痛ててて・・・・・・」
尻餅をついて着地したその人――見たところ、俺たちと年齢のそう変わらなそうな少女だった――は俺たちの方を見る。
セレスティーヌがまず声をかける。
「大丈夫でしたか?お怪我はありませんか?」
少女は俺たちを見回す。
「あ、はい・・・・・・多分・・・・・・あなたたちは?」
「私たちは、グレートパーティです。あなたがトラップに捕まっていたみたいなので、助けました」
少女は慌てたように居住まいをただす。
「あ、ありがとうございます。わたしはアリス・ゼルシアっていいます」
「そう、アリスさんね。私はセレスティーヌよ」
以下、各々自分の名前を告げていくグレートパーティメンバー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます