第15話 ドゥクレディア討伐戦

 依頼主は大金持ちだとかで、その庭園にドゥクレディアが出現したとのこと。


「ほええ・・・・・・」

 俺はその大庭園の広さと美しさに感心する。


「で、ドゥクレディアってどんな奴なんだ?」

「えーと。ほい、これ」

 セレスティーヌが魔法【幻映術】で画像を展開する。

 植物の根っこに顔がついたようなモンスターだった。


「こいつが庭園のあちこちに蔓延っているというわけ」

「なるほどね」

 ということでまずは【千里眼・中】を発動させる。


 庭園内の隅々までが、見渡せるようになる。 俺は自分の視界を【幻映術】で展開する。


「なるほど・・・・・・庭園内全体の構造はこうなっているわけね」

 セレスティーヌは画像をチェックする。


「おっと、早速一体目発見!」

 セレスティーヌが言い、俺は確認する。


「よーし。そんじゃ、そこに行きますか」

 ということで、早速ドゥクレディアの下へと向かう俺たち。


 ドゥクレディアは、サッカーボールくらいの大きさだった。


「行くわよ・・・・・・て、きゃぁぁぁっ!?」

 セレスティーヌはいきなり紫色の液体を噴射された。ベトベトになるセレスティーヌ。


「ちょっ、これなんなのよ?」

 俺は素早く【解析術】を発動して、その紫の液体の成分を見る。


「気をつけろ、セレスティーヌ!それ、毒液らしいぞ!」

「えぇぇぇぇっ!?」

 驚くセレスティーヌに間髪入れず【ヒール】を発動させる。光輝く霧のようなものにセレスティーヌは包まれる。


 その霧が晴れたとき、セレスティーヌの身体から毒々しい液体は消えていた。

「おわっ、ありがとうレイ!」

「礼はあとだ、セレスティーヌ。喰らえ【噴焔流】!」

 ドゥクレディアのいる地点から、凄まじいまでの炎の柱が巻き起こる。ぐぉぉぉっという音と何かを燃やした後のにおいが辺りに充満する。


 ドゥクレディアは跡形もなくなり、ただ黒い焦げ跡だけが残った。


 俺はセレスティーヌに格好つけて言う。

「どんなもんだい。これで一体は片付いたな」

「レイ・・・・・・いくらなんでもやり過ぎよ」


 セレスティーヌは呆れたように言う。それから、ほんの少しだけ頬を染めて続ける。


「ま、でもさっきはありがとう・・・・・・毒液浴びてパニクっちゃったね、私」

「なーに、大したことはないさ。次の探そうぜ」

「うん・・・・・・」

 俺たちは二体目のドゥクレディアを探す。


 二体目も、すぐに見つかった。最初のよりは、若干大きい。

 またしても毒液が噴射される。


「【防御魔法・レベル1】」

 今度はセレスティーヌが魔法を詠唱する。俺たちの前方に見えないバリアが張られ、紫の毒液は俺たちに一滴としてかからない。


 セレスティーヌは俺の方を見て言う。


「今度は私にも活躍させてね」

 言うが早いか、再び魔法の詠唱に入るセレスティーヌ。「【真・轟雷輪】」


 ドンガラガッシャーンッ!目映い閃光と轟音と共に、盛大な雷がドゥクレディアに落ちる。


 跡には黒く焦げた床タイル以外、何も残っていなかった。


「セレスティーヌ・・・・・・お前も大概やりすぎじゃないか?」

「そう?さっき毒液浴びせられたんだもん。これくらいしないと、気が済まないわよ」

 清々したという顔のセレスティーヌだった。


「さ、もう他にはいないかしら」

「あ、そうだな。【千里眼・中】」

 俺は庭園内をくまなく探す。


「うん、もういないみたいだな」

「えー」

 残念そうに声を出すセレスティーヌ。


「なんでそんなに残念そうなんだ?」

「だって、もっといたらそれだけお金になるんだし。私、まだ余力があるのよね」

「余力ねえ。開始早々、毒液浴びせられていたのだれだっけ」

「もう!そのことは言わないで」

「はいはい」

 そういうわけで、俺たちは帰還する。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る