第43話母娘?

電話に出た瞬間から大道の叫びに近い声がスマホのスピーカーから愛の耳をツンザク。

「愛ぃぃぃ!お前どこに行ってたぁー!心配してたんだぞぉ!今どこなんだ?ぇえ!」

「あっ…えっ…だ…大道さ…。」

「今すぐ会社に来る事できるか?いや…頼むからきてくれ!迎えに行くぞどこなんだ?」

「え?い、今は家にいます…用意したらすぐ行きます…失礼しまーす…はぁ。」

電話を切り肩を落とす愛。

「さぁ…行くが良い…お前の真実の道をな。」

カナ様の言葉は聞こえているが、流れで行くと言ってしまった愛はもう力が抜けて反抗する気力を失っていた。

「頑張ってね愛…私仕事があるからとりあえず帰るね…また後で連絡するから…じゃあね。」

愛梨がアパートから出ていく。

愛は嫌いやな感じ全開で相田プロ本社へ向かった。

(もうアイドルなんて…女なんてしたくないのに…はぁ~今度こそもうどうでもいい…ハチャメチャにしてさっさと辞めよう…。)

すでにハチャメチャをしてきたのに無意味な事を考えながら歩いて着いた本社。

受け付けのお姉さんが愛の姿を見つけ大道を呼ぶ。

急いで息を切らした中年大道マネージャーと所属アイドル愛の再会。

「あっ!大道さんどうもぉ…お騒がせしましたぁ…元気でいますので…それではさようならー。」

ふてくされた愛の言葉を聞いて大道は怒りがこみ上げる。

「…は?お前それは無いだろ…どれだけの人に迷惑かけたと思ってるんだ?何様のつもりでいるんだ愛!」

「…もう嫌だ…やりたくない…アイドルなんてもう…。」

「…なにがあったんだ?愛…もしかして仕事が辛かったのか?…だとしたらすまない…気づいてあげれなくて…。」

しんみりな空気の二人の後ろから会話が聞こえてきた。

「あの?すみません…関係者以外の方はご遠慮ください。」

「我は関係者の母。」

「はぁ…どなたのお母様ですか?」

「あそこにいる…平間愛の母だ!」

「失礼ですが本当でしょうか?確認しますのでお待ちください。」

受け付けお姉さんが愛のもとへ向かった。

母のふりをしたカナ様が愛の心に話しかける。

(愛よ…聞こえるであろう…我を母と言うが良い…否定は許さぬ…本当の母がどうなるかわかるな?)

(言えば良いんでしょ…あほくさ。)

「あら?お母さん…もう!ここに来たらダメって言ってるのに…あ~あ…すっかりボケちゃって困ったわ…消えてくれないかなほんと!まじで!」

大道と受け付けのお姉さんは似ていない母娘に驚いた。

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