21. これからの作戦

21. これからの作戦




 オレはしばらく歩き、目的の大木の前にたどり着く。そこにはオレンジ色の可愛い少女が見える。


「あっ!ステラ様!」


「カトレア無事で良かったわ!」


 カトレアはオレの姿を見つけると勢い良く抱きついてきた。そしてそのまま離れない。待て……なんか柔らかいし、すごくいい匂いがするんだが……そのまま抱き締めたい衝動に駆られるが、オレが男だとバレて死ぬ可能性があるので我慢する。


「本当に怖かったですぅ〜、もうダメかと思いましたぁ〜」


「ええ。とりあえず離れてくれないかしら?」


「あ、ごめんなさい……」


 カトレアは慌てて離れた。ちょっと残念な気持ちもあるが、今はそんなことをしている場合ではない。


「ギルとレオンはいないのかしら?」


「はい。私だけです。あのあと私たちも転移魔法陣でバラバラに飛ばされてしまったんです。」


「そうなのね。とりあえず2人を待ちましょうか」


 しばらくするとギルとレオンが現れた。どうやら怪我などはしていないようだ。脱落してなくて良かった。


「悪い。遅くなった」


「よかった。2人とも無事ですね!」


「とりあえず最悪の事態は間逃れたな。早速みんなの星の数を確認しておこう」


 するとレオンに言われて、みんな所持している星を確認する。


「ボクは2つだ」


「私も2つです」


「オレは何人か倒してきたからな。今6つだな」


「ステラ様は?」


 オレはさっき腹黒男から受け取った小袋とポケットから星を取り出す。正直かなりの数、遭遇してきたから数えていなかったな。オレはそのまま地面に並べて数えることにする。


「えーっと……ちょうど30個かしら」


「ええ!?すごステラ様!もうそんなに集めたんですか!?やっぱりステラ様はすごいです!」


「さすがは『風神』ステラ=シルフィードだな。」


 ……いや。ほとんど敵前逃亡をしてくるやつのほうが多くて、戦って手に入れたものじゃないが。まあいいか……。


「ん?ならもうノルマは達成じゃねぇか。意外に楽勝だったな?」


「確かに分配すれば全員10個ずつになりますね!」


「はぁ。なんで君たちはそんなに楽観的なんだ?そんなわけないだろ。残り時間はまだまだある。ここからはいかに星を奪われないように立ち回るかが重要だ」


 レオンの言う通りではある。時間が立てば立つほど、所持している星が規定以下の生徒は必死になって星を奪いにくるはず。


「それにここからは四大との戦いも考慮していかないといけない。一番警戒するのは『破炎』グレン=フレイザード。やつはステラの風属性に優勢だからね。もし出会ったら離脱も考えたほうがいい。」


「なるほどな……。ならなるべく戦闘を避ける方向でいくか?」


「それが賢明だろうね。でもこの広い森の中でそう上手く逃げきれるとは思えないけど。まずはここに移動しよう。」


 そう言ってレオンは地図を見ながら指をさす。そこは森の中でも外れのほうにある高台だった。


「ここなら風の魔力も多い。ステラが戦うにももってこいだろう。それに周りには遮蔽物もあるから戦いやすいはずだ。どうだステラ?」


「わかったわ。それでいいかしらカトレア、ギル」


「もちろんです!」


「まぁ安心しなステラ。もしグレン=フレイザードが来たらオレやカトレアが盾くらいにはなってやるさ」


 そうギルは笑いながら話す。そういえば2人は炎属性魔法が使えたな。確かに炎の耐性はあるか。でもそんなことはオレがさせない。オレたちは全員で勝って見せる。


 こうして作戦会議を終え、移動を開始することにするのだった。


 新入生魔法競技大会終了まで残り10時間30分。

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