12. 変なやつなら

12. 変なやつなら




 そんな感じでステラ=シルフィードとの思い出を話してくれたカトレア。なんか嬉しそうだな。まぁ……それはオレじゃないんだけどな。


「だから私はステラ様と一緒に頑張りたいんです!……って改めて言うとなんか恥ずかしいですね?」


「ありがとうカトレア。一緒に頑張りましょうね」


「というか、オレにはなんで仲良くなれたのか分からんがな?どう見ても嫌みな態度をとってるじゃねぇかステラ。」


「……うるさいわよギル。」


 それはオレもそう思うのだが、今は自分のことだからな。……本当に女ってのは分からん。


「でも……。初めて会った時のステラ様と大分印象変わりました。あの時のステラ様も好きですけど、私は今のステラ様も好きです。」


「好き!?好きって憧れってことよね!?」


好きって?好きって?友達としてだよな?当たり前だよなオレは今ステラ=シルフィードなんだから。


「はい。平民の私にも優しいですし、授業中も真面目に聞いてノートをとったりしてますし、まぁ私のこと覚えててくれなかったのは残念ですけど……」


 そりゃそうだ。別人なんだからな。そもそも、あのワガママ貴族令嬢が何も言わないのが悪いだろ。というより聞いても覚えてなさそう……。他人に興味なさそうだしな。


「……それはごめんなさいね。あの頃はまだ色々余裕が無かったから……」


「そんなに性格違うのか?魔法で洗脳とかされてたら面白いんだがな?」


「ちょっとギル君!ステラ様に失礼ですよ?」


「冗談だよ冗談。四大の『風神』ステラ=シルフィードが、簡単にそんな恐ろしい魔法にかかるわけないよな?」


「はははっ……」


 オレは苦笑いを浮かべる。洗脳?もっと簡単で恐ろしいことが目の前に起きてるぞ。別人がステラ=シルフィードになりすましてるんだから。しかも男がだ。


 でも、理由や態度はどうあれカトレアのためになったのなら良かった。あのワガママ貴族令嬢も役に立つ時があったんだな。


「思い出話はそのくらいで。魔法競技大会の話をしましょう。ギル。あなた他に仲間になってくれそうな人知らないかしら?最低もう一人はほしいわ。状況によっては2手に分かれることもあるだろうし」


「ああ?そうだなぁ……。仲間になってくれるかは知らないがこの魔法学園の新入生で変なやつなら1人知ってる。」


「変なやつってどんな人ですか?」


「どこのクラスにも在籍しないで、屋上とか色んな場所で独学で勉強してる男」


 その言葉を聞いて、カトレアが首を傾げる。


「なんでクラスに在籍しないんですかね?」


「さぁな。そんなクラスにも在籍しないやつの考えとか、こっちが考えても分からないだろ。」


 お前が言うなよギル。でもクラスに在籍しないで独学で勉強をしてるってことは、もしかしたら何か理由があるのかもしれないな。そいつに会えるかどうか分かんないが……。


「それで?その男の名前はなんていうのかしら?」


「ああ、名前は確か……レオン=アストラだったかな?」


「じゃあダメ元でそのレオンを探しましょう。どうせ今からまともな人なんて協力してくれないでしょう。私たちには1人でも多くの仲間が必要だから」


「そうだな。それじゃあ早速探すか。まずは屋上にいこうぜ」


「分かりました!」


 こうしてオレたちは、魔法競技大会に参加するための仲間、クラスに在籍しないで勉強している変わり者のレオンと呼ばれる男を探すことになった。

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