第8話 六通目



 ありがとよ、兄弟。

でも、あんたの言葉が俺の心に入ってこないんだよ。


 じゃ、言い方を変えてみるか。

俺の国で本を書いている奴がいるよ。

そいつの本の中の主人公って奴がさ、こう言ったんだよ。

どうか私に苦労を与えたまえってね。

馬鹿だね。


 そいつは間違いなく、夢や希望があるのさ。

そこへ辿り着くまでは、どんな苦労でも打ち勝ってみせる。

そんな野郎さ。


 本当の苦労を知らないのさ。

夢も希望もなく、打ちひしがれている人生をおくってみなよ。

とんでもないね、苦労、そんなものはまっぴらごめんさ。

どいつもこいつもがそう言うさ。


 苦労?

そいつは人生の最大の敵さ。

それを乗り越えたところで待っているのは

それ以上の苦労だけさ。


  エドワード

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