エドワードとの文通

織風 羊

第1話



 外国人との文通を

英語ができるからと自慢したいわけではない。


彼がどんな生き方をしてきたのか

私には知る由もない。


ただ

素人の文筆家が

この手紙のやり取りを公開することで

望んでいることは

そんな人間もいるのだなと

何処かの片隅に捨ててもいいような

そんな物語を

奴の為だけに

せめてもの花向けに

此処にだけ記しておこうと思っただけにすぎない。


既に新しい物語も書けない

そんな素人作家(それでも作家と言えるのなら)が

此処だけに書いておこうと思う内容は

書籍化なんかどうでもいい

望んでなんかいない物語

一人の人間の人生

そう

彼は確かに人として生きていた。


そんな奴の人生は

本当はどうだったのか

例えば思う存分に酒浸りの毎日を送って最高の夜を迎えていたのか

その逆で

あのどうしようもない劣等感の中で二日酔いの頭を抱えているような人生

奴との文通でしか語れない。


最後に

エドワードの本名は言えない

アメリカ人であるが

住んでいる場所も言えない

SNSそんなもののおかげで

奴の家族には迷惑をかけたくないから。


じゃ

聞いてくれるかい?

エディの話を?

ただ一言だけ言っておきたい

毎日英語を訳して

此処に書いては行けないんだ。


私も最近

忙しくなってね。


当然だろ?

人は働かなくちゃ生きていけないんだ。


もしも機会があれば

数日後に

この物語で会おう。

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