カード×ロワイヤル-異世界への奇妙な旅-
藤田吾郎
第1話 運命のカードに身を任せる
それはあまりにも衝撃的すぎてまるで本当に文字通りの頭が真っ白になりそうだった。
あの日…俺はダチの純弥と一緒にバイクのニケツをして夜の峠を走り馬鹿みたいに騒いでいた。ただ、それだけだったんだ。
俺が運転して純弥が後ろに乗って…
俺達がカーブを曲がろうとした時に減速が足りなくてカーブが曲がり切れなく、反対車線にはみ出してしまう。
ここは人の居ない峠だし。俺は反対車線から車は来ないだろうと思っていた。いや、そもそもだ。その考えが安易だったんだ。
反対車線からトラックが来て俺達はトラックと交通事故にあった。
特に。特に痛みは無かった…ただ俺は人生の走馬灯が見えて意識が真っ白になって居たのは覚えていた。
真っ暗な闇の中。俺は1人で立っていた。そもそも俺の名前……そうだ。俺は桂葉 刃(かつらば じん)だ。俺は何で?1人で真っ暗な闇の中に?
その辺はよく分からない…それに身体中が地味に痛いのは何でだろう…それに純弥は?確か純弥と一緒だったような…そうじゃない様な…
イマイチ記憶が曖昧なだな…まぁ…良いか…
すると真っ暗で俺を覆い隠す様でまとわりついた闇が急に消えて一筋の光になった。その光が溢れ出す様に広がり……
「ん…?ここって……」
「やっと起きたか?刃。」
「純弥…?って俺ら!痛ッ!」
「まだ寝てろ。俺よりお前の方が重傷なんだ。お前は3日も生死をさまよってたんだ。全く…心配掛けやがって…」
「いや~…すまん。すまん。迷惑を掛けた~」
「むしろお前がクッションにならなきゃ俺が死んでいたみたいだがな。」
「ん~…純弥が死なないなら良いかッ!痛てて…」
「あのなぁ…」
純弥は俺の隣のベッドから上半身だけを起こして少し呆れた様に優しく微笑み掛けてくれる。
「純弥~…」
「ん?」
「腹減った…」
「俺もだ。」
腹は減ったが俺と純弥はアレから医者やら看護師達に色々と精密を検査をやらされて結果的に俺達はピンピンしているし医者からは呆れる程の問題なしであった。
それでもあと数日は入院だとさ。それから俺と純弥は飯にありつけたのは良いけどさ……
「純弥~…」
「なんだ?刃。」
「何かご飯の量が少なくね?」
「だいたい何処の病院食もそんな所だろ?」
「ちぇ~…」
まぁ文句を言っても仕方がないし腹の中に何も無いよりも何かあった方がマシだし食べる事にする。病院のメシは薄味だけどさ…
そんな病院生活の日々は何ともストレスもなく養生は出来るが何か物足りない。そうストレスが無いのも退屈な物なんだよ。
まぁ、飯の量が足りないから病院の中にある購買でパンやらオニギリを買い食いしてたけど特に看護師さんからは何も言われなかった。
それから俺と純弥は普通にピンピンしていたから難なく退院出来た。
俺と純弥のめでたい退院日には誰も居ない。俺と純弥の2人きりの家に帰る。俺達には親は居ないんだ。
学校は定時制の学校に週に何回か行くだけ。俺も純弥も1人で生活している。俺達はごく普通の温かい家族は居ない。
俺は小さい頃までは普通の温かい家族に囲まれていた。父さんに母さんに姉ちゃんが…
父さんはいつも疲れ果てて仕事に帰ってくるが家に帰ればいつも面白い事を言う父さん。
母さんは料理が大好きで母さんの作る料理はいつも温かくて食いしん坊な俺の腹を満たしてくれた。
姉ちゃんは危なっかしい俺をいつも見守る様に傍にいて優しく笑い掛けてくれる太陽みたいな姉ちゃんだった。
いつも面白くて温かくて優しい家族だった…
だけど…幸せなほど長くは続かない。だって、それは自分自身が身をもって体験した事であり真実だと確信したから。
そうアイツらは俺の家族を…
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