第15話ゾンビ愛

栗原は千代の手を離さない。じりじりと、肉体の焼ける音がする。フライパンの上の卵のように。それでも、千代は栗原から少しずつ引き上げららた。2人とも顔は醜い火傷を、おこしている。

「千代。また、肉を食べれば治るさ」

「……」

太陽は既に登り始めた、ようやく栗原は千代を引き上げた。

2人とも動かない。ベランダには日陰がない。

2人は抱き合うようにして、太陽の光を浴びて焼けてこげた。

更に石灰化が、始まり、石灰の彫刻の様になった。


藤岡が目を覚ました。シャワーを浴びてあかねを起こす。

「昼メシどうする?」

「ゾンビさんにきいたら?」

藤岡は2人がいつも寝るベッドにいない。

嫌な予感がした。

ベランダから風が吹いてくる。

藤岡はベランダへ出て絶句した。

石灰化した、栗原新之丞と千代がいたのだ。

その美しい彫刻みたいな姿の2人の塊を見ると涙が溢れた。

あかねも、気付くと2人のゾンビの姿に涙した。


ベランダの柵が一部剥がれていた。

多分どちらかが落ちかけて助けているうちに太陽の光をあびたのであろう。

藤岡とあかねは合掌した。

そして、2人が大好きなレッドアイを石灰化したふたりにかけてやった。


こうして、2人のゾンビ暮らしの終焉をむかえたのである。

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