第12話それぞれの夜

「あかね、先にシャワー浴びていいよ」

「藤岡君は?」

「その後でいい」

「一緒にお風呂入ろうよ~」

仕方なく藤岡は服を脱いだ。あかねも服を脱ぐ。

「やっぱスゴイ、大きいよね」

「そこに、こだわるな!」

2人は一瞬に風呂に浸かった。


「ババンババンバンバン、ババンババンバンバンい~い湯だなアハハンい~い湯だな」

「藤岡君なにそれ?」

「えっ、知らないの?ドリフターズの『いい湯だな』だよ」

「私、平成生まれで25歳ですから」

「悪かったな!昭和生まれで」

「それよりさ、あの2人エッチとかするのかな?」

「しないよ!ゾンビだし。接吻くらいはするんじゃない?」

「接吻?」

「キスだよ、キス」

2人は身体を洗いっこして、ベッドへ向かった。


「千代、今の世界に慣れたか?」

「ええ、姫が色々教えてくれたり、日が沈んでからドライブにいったりと」

「ドライブとな?」

「動く箱に乗り、様々な場所へ行くのです」

「動く箱か~、自動車の事だな」

「そうでございます」

「うちの殿も、優しいお方で食べるもの、飲むもの、自由にさせて頂いておる。故に床磨き、便所掃除、洗濯物は拙者がやっているばい」

2人はレッドアイを飲み干すとウイスキーを、持ち出した。


「千代はハイボールは好きか?」

「ええ、姫が良くハイボールを飲むもので」

栗原はハイボールを2つ作ると、

「カンパーイ」と言ってジュースの様に飲んだ。

「千代、ちこう寄れ」

「は、はい」

2人は見つめあい、接吻しようと顔と顔とを近付けた。

「臭っ、殿、お口がくそうございます」

「な、ハーッハーッ」

と、自分の息を両手で溜めて嗅いだ。

「ホントだ、臭い。肉体はほぼ完璧なんだけど、歯槽膿漏なんだ。殿が言ってた」

「ならば、これ差し上げます」

千代は、手提げからマウスウォシュレットを差し出した。

「これを毎日、口の中に入れうがいをしたら歯槽膿漏は治ります。接吻はまたの機会に。殿と姫は、私どもの為に朝まで帰って来ないでしょう。さ、ハイボール飲みましょ」

「う、うん」



「藤岡君、いっぱいだして」

「ハァハァ、い、イクっ」

藤岡は、あかねの顔に顔射した。

あかねは、満足したように見えた。

「よし。4回目だ。藤岡はまた腰を振りだす」

「あぁぁぁ~、壊れちゃうぅぅ」


2組のカップルは、楽しい金曜日の夜を謳歌した。

結局、藤岡は5回戦で疲れて、あかねは4度失神した。

栗原新之丞はマウスウォシュレットで口をゆすいだが、接吻は断られた。

ただれた愛と純愛。

さて、どっちがいいのやら。

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