第8話ゾンビと彼女

栗原をゾンビと呼ぶにはふさわしくない身体つきをしている。胸板は厚く、腹筋は割れており、顔も悪くない。髪の毛はボサボサだが。

今夜、藤岡の彼女が遊びに来る。その前に栗原を1000円カットに連れていった。夜に。

「殿、今の男児は月代がないででござるが、異国の風習でござるか?」

「徐の通りだ。今から髪の毛を切る。男前になるぞ」

「ウヒヒヒヒ、脳ミソ~」

「てめえ、また、首吹っ飛ばされたいか?」

「冗談でごわす」

「オレも冗談。アハハハハ」

「ウヒヒヒヒ」

栗原は男前にカットされ、ワックスで髪型を整えた。

古着屋、栗原用の服を数着買った。

6500円で済んだ。


「ゾンビ栗原~今夜僕の彼女がうちに来るんだ」

「かのじょ?何でござるか。美味しいのでござるのか?」

「昔なら、許嫁いいなずけだ」

「左様でごわしたか。拙者はいない方が良いでござるな」

「栗原には同席してもらいたい。だが、トマトジュースは出すけど、生肉喰う姿を見せたくないんだ」

「殿、それがし、もう生肉は結構でごわす。昨晩のビーフシチューなぞ、大変に美味でありました」

「後、1時間で彼女が来るから、銭湯いこう」

「昔から、銭湯は好きっちゃけん」

相変わらず、言葉の訛りがめちゃめちゃだ。

2人は更衣室で裸になった。

「殿、殿のイチモツは魔物ですばい」

「栗原も凄いじゃねぇか?」

「よく、女郎屋でいわれましたけん」


2人して風呂に入り、休憩室で牛乳を飲んだ。

「栗原、生き血よりウマイだろ?」

「御意」

そして、スーパーで、つまみ、酒、トマトジュースを買い、藤岡の彼女を待った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る