第7話栗原の正体

仕事を終えて、途中スーパーで、豚肉、弁当2つ、トマトジュース5本、ハイボール3本買って帰宅した。

部屋には栗原の姿がなかった。

バスルームから鼻歌が聴こえる。

「雨は~ふるふる、人馬はぬれる~♪」

何だ風呂か。

部屋は綺麗に掃除してあり、洗濯物もきちんと畳んであり、藤岡用と書かれたかごに入れられていた。もちろん、栗原用のかごもある。タオルは共同だ。

しばらく、風呂からでてこないだろうと、弁当つまみにハイボールを飲んでいた。


ガラガラッ


浴室の扉が開く音がした。栗原はトランクスだけ履いて、リビングに現れた。

「殿!お帰りでしたか。先に風呂を馳走になりましたでごわす」

「そ、その前に、どうした?お前の身体」

「あ、すっかり生前の姿にもどりましたけん」

「がたいいいなぁ。お前、女を泣かせただろ?」

「止めてください、400年前の話です」

「お前は、オレより400年も差があるのに、顔はまだ、若いな」

「二十七で、死にましたばい」

どれどれ、藤岡は栗原の身体を調べたら。

ちゃんと、肉は付いている。筋肉の付き具合もバツグンだ。


「栗原、はい。夜ご飯。生の豚肉とハンバーグ弁当とトマトジュース」

「かたじけない」

「栗原は暗殺されなかったら、どうなっていた?〇〇藩の殿でござった。権力争いに負けましたばい」

「君は若い頃から苦労したんだな、ん?」

「どうか、なされましたか?」

「さっき、見逃したけど、右肩がただれているではないか!」

「左様で。身体が無事に殿お力で戻ったので、ベランダに一瞬だけ、日中にでましたら、焼けただれ申した」

「やっぱり、ゾンビなんだね。早く着替えな。短パンでもジャージでもいいから」

「御意」


2人は他愛のない話をしながら飯を食べた。

夜だけ、剣術の道場を開く構想を2人でねっていた。栗原は、示現流である。

この体つきだ、相当強いに間違いない。

ゾンビ栗原と生活を初めて4ヶ月。ちょっと生活費が足りない。貯金に手をだしている。

栗原が20万円稼いでくれたら、左団扇なのだが。

ふと、栗原を見ると生の豚肉にかじり付いていた。

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