弾とバレルが決まったら、次はサイトを決めよう
それで、アンタが想定するメインの交戦距離が400Mから500Mで、
場合によって1000Mまで対応する6.5mmアサルトライフルってことでいいのね?
ウンウン、うちらは少数だし、戦闘では常に先手をとる必要があるからね。
歩兵が索敵できる限界距離って大体300Mくらいでしょ?
その範囲外から撃ち始めたいから、それくらいでいいかなって。
となるとスコープと一緒にもう一個サイトをつけた方が良いわね。
ハンドガードを8面M-LOKか何かにして、
狙撃用の高倍率のスコープは上部レールにマウントしておいて、普段はそれを使う。
で、接近戦が発生したときはスコープから視点を外して、斜め下方に配置した
リフレックスサイトを使って即座にエイムできるようにしておけば、
遠近両方に対応できるわよ。
近距離なら多少のキャンティング(銃口と照準の縦軸が斜めにズレている事)は
事前に調整できるから100M以内の射撃はこなせるでしょう。
スコープにリフレックスやアイアンサイトがついてるやつあるけど
あれじゃダメなの?
予備照準器ね。悪くないけどあれはかなり銃口と照準点の高低差がつくから、
近距離の正確性に関してはかなりきついわよ。
リアに配置したリフレックスサイトに拡大鏡をつけるっていう方法もあるけど、
あれは操作する必要があって、即応性に欠けるから、
今回の選択からは外しましょう。
ふぅーむ、そういえば、リフレックスサイトっていっても
ダットサイトとホロサイトって別れてるけど、あれって何が違うん?
どこが違くて、どっちを選んだら良いん?
なんかこう、ダットは点、ホロは丸にぽっちの違いくらいしか
分からないんだけど…正直雰囲気でしか使ってない!
さて、どこから話したものかしらね…
ドットサイトもホロサイトはどちらも用途としては似通ってるわ。
近距離の目標を早く、正確に狙うためのものね。
どちらも等倍だから、スコープで狙うときと違って、
眼とスコープの焦点を合わせる、アイレリーフをとる必要がないから、
スコープの外の状況も確認しやすいわ。
なるほどなるほど、そういえばスコープって結構見れる範囲が狭いよね。
真っ直ぐ見ないとすぐ影入るし、
遮蔽から遮蔽の移動も、姿勢移行しずらくてストレスなんだよねー。
そういった事が起きるスコープよりドットやホロは視界が広くて、
反応速度があがるわね。近距離は早く狙えて使いやすい。
でも、スコープにある弾道補正の機能がなくて、
ど真ん中しか狙えないから長距離は苦手。ここら辺が共通点かしらね。
それで、ダットサイトと、ホロサイトの違いは、方式の違いね。
ドットサイトはLEDを点灯させてレンズに反射させてるけど
ホロサイトはレーザーを反射して板ガラスの上に照準を投影してるの。
ダットサイトはコーティングしたレンズを使ってLEDの赤色だけを
反射するようにしてるから、程度の良くない物は
レンズに青色が入って視認性が良くないわ。
視差も出ちゃうからちょっとだけ照準にコツがいるわね。
んー?視差が出ちゃうってどういう意味?
んー、簡単にいえば、眼とサイトの中心を合わせてちゃんと見ないと
ダットサイトの赤い点と、実際銃が向いてる先のズレが出るって事よ。
とくに、頬付けができない変な位置につけると精度が下がるわね。
はぇーなるほど。そういえばそんな覚えがあるなー。
でもそれって…そもそもとして射撃姿勢取るのが
下手だからそうなるってだけだよね?
身も蓋もないわね…。まあ、ぶっちゃけるとそうね。
でも、ホロサイトの方は、この視差が出にくい構造になってるから、
練度が低い射手でも正確性をもって射撃できるっていうメリットになってるわ。
ホロサイトの視差が出にくい事の更なる利点は、
レティクルの表示されているガラス板が泥や雪をかぶったり、
最悪割れたとしても、残った表示部分が中央になるように
ずらして使用できるってところね。
ダットサイトは光点が表示されている部分はレンズだから、
割れると完全にアウトだし、オープンタイプは汚れに弱いのよね。
あとは射程を図るのに便利ね。ホログラフィックはレティクル表示を
操作できるから、中央の光点を3MOA、囲む円を65MOAに設定すれば
円に歩兵がすっぽり収まれば100M強、半分なら200、って言った具合にね。
あー、対比目測法だっけ?それならわかる!
以外にアンタ、ちゃんとした訓練受けてるのね…
あとはナイトビジョンモードかしらね、
大体のホロサイトにはナイトビジョンモードがついてるけど、
ダットサイトは無いものもあるから、そこは確認が必要ね。
ホロサイトのほうが利点が多そうだけど、逆にデメリットってないの?
ホロサイトのデメリットねぇ…まあ大体恨み節になっちゃうんだけどそうね…
まずホロサイトは小型化が難しくて、ピストルマウントには難があるわ。
単純にデカいから、リアサイト側に据え付けると視界を塞いで、
感覚的にかなりの圧迫感があるわね。
後はそうね、乱視に弱いっていうデメリットは無視してもいいか…。
たまに眼球形状いじって複眼とかクモ目にしてるアンデットがいるけど、
アンタは普通に人間の形状だしね。
ホロサイトでよく起こるのはやっぱり耐久性の問題よね。
精密機械だからしょうがないっちゃしょうがないんだけど…。
とにかくレンズの経年劣化が起きやすいのよね。
暑さか湿気か、紫外線かわからないけど、レンズのコーティングは
本当に壊れやすいわ。
コーティングがダメになると、スクリーンの端っこから
ミミズみたいなノイズが伸びてきて、まあこれが醜いのよね。
あとは輝度の低下ね。
部材の劣化でレティクルの表示が薄くなっちゃうのよ。
レーザーを投影するバインダーの感光材料が劣化したり、
発振機や基盤の劣化でどうにもならなくなったり…。
ふむ、わからん!
…とりあえず壊れやすいって事でいいんだよね?
そうね、ホログラフィックサイトはそれなりに複雑な機器だから
値段も下手をすれば銃本体を超えるほどに高いから…
メリットは有り余るほどにあるけれど、デメリットもちゃんとあって、
値段が高いのと耐久性の低さがあげられるわね。
…それ、ウチにはどうしようも無くない?
日光に当てるなとか外に出すなとか言う話になっちゃうものね。
あとは細かい部分になるのだけれど、
ホロサイトは電池の持ちがあまりよろしくないわね。
それでも1年くらい持つけど…。
ドットサイトはスペック上、5年は持つから、買い換えまで
交換しなくてもいいくらい電池の持ちがいいんじゃないかしらね。
ドットサイトってそんなに持つんだ。でも5年も使ってたら
流石にどっかぶつけて壊しそう…
それで、選び方だけど…まずアンタが今言ったように、
頑丈であったらそれに越したことはないわね。
意外かもしれないけど、重いものよりも、軽い方が耐久性が高い場合があるの。
重量があると頑丈そうに思えるでしょうけど、
重いと振動の影響を受け易いっていう事だからね。
確かに…ショートバレルの先端にクソデカパーツつけると
なんかすぐ壊れそうだよね。ちょっと気にしておこうっと。
まあおまじない程度に考えた方が良いと思うけどね。
で、特にホロサイトは内部にレンズを何枚も持っているから、
それなりに重くなりがちなのよね。
その点、ドットサイトは1枚のレンズとLEDだからホロより軽量で、
とりわけ、レンズがフレームに覆われてるだけのオープンタイプはかなり軽いわ。
第一予備照準器なのだから、全体のバランスも考えたら、
軽量なオープンタイプを選ぶのがベターだと思うわ。
私が選ぶなら、逆光とか悪天候時の視野狭窄を考えて、
集光タイプではない、電池式の輝度の強弱が操作できるものがいいわね。
加えて、ノクトビジョン対応された非可視光切り替え機能も必須ね。
それで光点のサイズは、フロントにつけるなら遠距離用の3MOAでなく、
近距離用の6MOAの光点が大きいものが見やすくて良いかな。
形状は、オープンタイプで、素材は航空機グレードのアルミニウム。
それも硬質アルマイトで表面処理されたものがいいわね。
いけない…一度に渡す情報が多すぎたせいか、魂が飛んでるわね。
うっぷ、情報酔いしちゃった。でもそれくらいのドットサイトだと…
お高いんでしょう?
そうねえ、今ちょっと調べてるけど、大体8万から10万ね。
モノがモノだけに、劣化具合が不明な中古っていうわけにはいかないでしょうから
正規の工場から出荷された新品を手に入れるとなると…それなりに値段は張るわね。
特に※レガシー設計の製品を扱ってるトレーダーは値引きなんて絶対しないから
予算は最大で10万は見た方が良いんじゃないかしら?
…出せなくはないけど、消耗品って考えると胃が痛くなりそう。
とはいえ、安いものはレプリカだったりするから…。
光量調整ボタンがただの飾りでした。とか笑えないからね。
確かに…いやー、お金がかかりますなあ。
サイトが付属品で一番お金がかかる部分だとは思うから、多分これ以上はないわよ。
あとはレシーバー、グリップとハンドガード、ストックの話をしましょうか。
スコープ…は、たぶん流用するでしょうから、おまけ程度で。
お財布が消し飛びそうでやべぇってのに、
ウチわくわくしてきたで!
きっとそれはただの動悸ね。
小心者のクセに高級品を揃えようとするからよ。
――たぶんつづく。
※レガシー設計
(戦後のスクラップを使った設計では無い、戦前の製品設計、とてもお高い。)
追伸*サイトという言い方ですが、サイトと言われると
まずオープンサイトやアイアンサイトのことを連想します。
今回はアイアンサイトも光学照準器も含む大枠の概念である
普通リアのレールに乗せる筒状のモノは
なので普段、この人たちはサイトではなくオプティクスと言っている筈です。
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