怪異探偵の怪しいサイト
咲谷 紫音
プロローグ 本当に怖いのは?
本当に怖いのは、人間でも幽霊でもなく、会話ができない存在だ。
人間と幽霊、本当に怖いのはどっち?
よく耳にする質問。こんなの答えは決まっている。
幽霊を怖いと思うのはなぜか? それは、急に襲ってきて、殺されるかもしれないからだ。「襲うのをやめて」って言って、こちらの言葉通りにしてくれたら? 無言で襲ってくるどころか、楽しく会話ができたら? そんな相手を怖いと思うかな。これは、人間にも言える。不審者を怖いと思うのはなぜか? それは、こちらの話も聞かずに襲ってくるからだ。いくら家族や友達でも、会話をせずに襲ってきたら、恐怖の対象となるはず。
人間は自分の命を脅かす存在に恐怖を感じる。そして、自分の命を守るためには、言葉で意思疎通を図る必要がある。つまり、会話が通じる存在からは、自分の命を守ることができる。逆に言えば、会話が通じない存在からは、自分の命を守ることができない。
人間と幽霊。怖いと思う対象は、このどちらかじゃない。大切なのは、「会話ができるかどうか」だ。だから僕は、会話ができない存在が一番怖いし、関わりたくない。
なのに―。
「はぁ。もう良いだろう。早くしてくれないか。まさか文学部にいて、日本語が理解できないわけじゃないだろうな。俺はそんな奴と組む気はない」
なのに、こいつは―。
僕の人生の中で、一番関わりたくない存在だったのに!
ム、ムカつく~っ!!
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