第27話

 俺ポムは2頭の牛を背負って3層にたどり着いた。ここには他のメンバーが居るはずなので寄り道していく。ちょっと試したい事もあるのでね。


 ソナーを使いながら皆んなを探していると6人の団体が一箇所に集まって居るのを発見したので、そちらに近づいて行く。


 丁度解体中だったようで、皆んな俺ポムの出現にビックリしていた。そして背負っている牛を見て再度驚いている。


「ミアは初ダンジョンどうだ?装備も凄く似合ってるね!」


「そう?エヘヘへ、ダンジョンはとても楽しいよ!ワタシは解体は得意だからね。とても順調だよ」


「ちょっと、貴方!ワタクシも初めてでしてよ?この装備だって新調していましてよ?どうなのですか?」


「あー、似合ってる似合ってる」


「なんですの、その適当な相槌は!まあいいですわ、ワタクシも大変楽しんでいますからね」


 へいへい、さよですか。ミアは俺の恋人で、アンネは結果、俺を死地へと連れて行こうとした女だ。結果論だから言っても仕方ないのだが当然態度にも出てしまう。


「そうだ、ソラとミアで試したいことが有るんだけど今ちょっと良いか?」


「ああ、平気だぞ?どうした?」


 俺はまずソラの手を取り、魔力をソラの身体隅々まで行き渡るように流し込む。これは身体強化の魔法のイメージがし易いようにやってみたのだ。


 次はミアにも流し込む。すると二人共身体能力が上がったことを実感して大はしゃぎである。


「これが身体強化なんだね?身体の隅々まで魔力が行き渡っているのが良くわかるよ!」


 とミアもソラも感じを掴んでくれたようだ。ん?待てよ?これで俺の魔力で強化していったら、皆んな魔力の感じを掴めるんじゃないか?練習しなくても皆んな魔法使いに成れちゃったりして。


 まあ危ないから止めておこう。解放されてから試してみよう。コレなら館でも出来るからね。


「まだ狩っていくの?俺ポムは帰り掛けにギルドで能力チェックしてから帰るんだけど」


「あ!良いね!アタイも行きたいぜ!丁度これで最後の予定だったし皆んな引き上げどきだな!」


 皆んなで行くことになったので、帰りはワイワイ賑やかに帰路に付く。ミアはまだ200キロも背負えない様だが、アンネは流石に戦闘職、既に300キロを背負って、草の一杯入ったカバンも胸側で担いでいる。


「そういえばアンネはジョブレベルは幾つなの?姫騎士ってジョブレベル上がりづらいんだろ?」


「ええ、そう言われているわ。姫騎士はジョブグレードが上の方ですからね。最後に調べたワタクシのジョブレベルは7でしたわ」


「ジョブ特性とかはわかっているの?」


「騎士系ジョブは例外なく重装備重量軽減ですわね。どんなに重い装備でも革の鎧と体感重量はほとんど変わりませんわ」


 何それ!すごいんですけど!



 さあダンジョンギルドに到着したので早速能力チェックをする。この能力チェックのシステムは俺の能力では調べられないので製品で、魔石、鉱石の類は使っていない様なのだ。


レベル         24 (18)

職業     サバイバー24 (16)

       付与魔導士 8

スキル  サバイバルの知識、魔法の知識

生命力(HP)282/282 (125)

魔力 (MP) 43/220  (70)

力  (STR)   158 (117)

丈夫さ(VIT)   162 (121)

器用 (DEX)   243 (178)

素早さ(AGI)   235 (170)

知力 (INT)   204  (92)

運  (LUK)   124  (83) 


 前回控えた布を見ながら、俺は怪盗眼鏡で新たに横に書き足していく。魔導士に成ったからか知力の伸びが半端ない。魂レベルとジョブレベルは、多分今日ガッツリ上がったっぽい。


 コレ、自分の魂レベルと、ジョブレベルがあるけど、能力の上昇率は何かの規則性は有るのだろうか?まあ有るんだろうな、ダブルジョブだから尚更に。俺は知らんけど…。


 ここで、俺は身体強化を1回使ってみる。すると魔力は40になった。どうやら身体強化の消費魔力は3みたいだ。つまり73回使えるから365分効果がある。6時間ちょっとだ。


 それに力、丈夫さ、素早さがやはり1.5倍になっていた。この情報は後で皆に伝えて共有しよう。


 今日は強化を約4時間半位使い、それ以外にも爆発1回、弱体3回使って、ミアとソラにも身体強化を使ったので、計算としてはもっと減っていてもよいのだが…自然に回復しているっぽいのかな?


 他のメンバーも調べ終わった様なので、皆んなは次は錬金ギルドに、俺は牛を背負ったまま鍛冶ギルドへ魔鉄鉱石を売りに行く。ラミも腕に抱きついて一緒に来ると言う。


 カウンターに鉱石を出すと、早速調べ始めてくれる。


「魔鉄鉱石ですね。魔鉄の保有量も申し分なしですのでキロ1万5千ガルドになります。28キロ有るので42万ガルドになりますね。買い取りでよろしいですか?それともインゴット希望ですか?」


「ん?インゴットにしてもらえるのか?それを武器屋とかに持っていくとか?」


「ええ、そうなります。その方が希望の武器に加工出来ますし、この量なら大武器1に通常武器2は作れるでしょうね」


 ほうほう、面白いことを聞いたな。


「魔鉄武器は店先には並びづらい素材ですからね。通常は持ち込みになりますね。どうします?インゴットにするなら有料になりますが魔鉄は85パーセントの24キロが取れる予想となります。ですので費用はキロ1千ガルドですので2万4千ガルドとなります」


 ちょっと面白いな。インゴットにしてもらおう。そしてまずは拾った俺とポムの武器、余ればアキの剣か、ラミのガントレット。


 そして俺は鉱石の取れるダンジョンの情報を買う。今後機会があれば自分で鉱石を取って来ても面白いだろうな。


 その後、金貨の手持ちが無いので、一旦保留でまた来ますと言ってギルドを出る。丁度皆んなも錬金ギルドから出て来たので、魔鉄の話をする。


「おお、良いじゃないか。インゴットにしてポムの鎚と、ユータのナイフ二本、それにアキの剣一本にラミの小手も行けるんじゃないか?」


 ソラが賛成してくれる。概ね皆賛成だ。お嬢様以外は…。


「なんでそこにワタクシの名前が出てこないのですか?ワタクシだってパーティーメンバーでは無いのですか?」


 確かに言っている事は間違って居ない。これは完全に俺のミスかな?


「ごめん、確かにそうだね。それじゃあどうしようかな…」


「アタシの剣は後でも良いですよ?どうせ解放されれば自由になるんですから。そしたらユータさんと一緒にもっと凄い素材集めましょうね!」


「ウチもそうかな?アンネちゃんは多分最後は一人になるだろうからね?良い武器は有ったほうがよいかもよ?」


「ちょ!ワタクシの返済が終わるまで付き合ってくれるのではないのですか?それに貴方!貴方のほうがワタクシよりも返済は遅くなるのでは?」


「いや?付き合わないぞ?それに多分俺のほうが早いぜ?俺の恋人達の稼ぎで返済してくれるし、それに商人ギルドにレシピを登録してるからな」


「………」


 絶句とは正にこれか。アンネが最後まで面倒を見てくれると思っていたとは…。畏れ入るぜ。


「まあまだ時間はあるから、稼ぎ方をしっかり覚えておくんだぞ?ダメでも最長10年で開放だ。それまで保護して貰っていればいいじゃないか」


 1日で金貨10枚は稼げる様になるだろうから、3000日。8年半弱。まあ後は自分次第だ。


 娼館に着いて、ミアは夕飯の支度。今日は牛肉があるから後で俺がステーキを焼くと言ってある。今日は肉づくしだ!


 皮を剥ぎながら、まずは当然シャトーブリアンとヒレ!これは外せない。そしてリブロースにサーロイン。ボスも入れて8人プラスアンネ。まあどうせアンネも食うんだろう。


 そうなるとこっちの人間は一人500グラムは食うとして、大目に見て5キロは欲しい所だ。そして後は明日の朝の分だ。なので合計10キロは先に取っておく。


 その後は余りの部位を切り分けて売りさばいていく。柔らかい部位は100グラム50ガルドで売る、煮込み用の硬めの部位は30ガルドからだ。


「今日は6層の牛の肉があるよ〜!1度食べたら辞められないよ〜!ステーキ用の肉で100グラム50ガルドだよ〜!歯ごたえ満点の肉で30ガルドだよ〜!煮込めば柔らかくなるからね〜!ボアもあるからね〜!サービスで胡椒も掛けておくからね〜!売り切れ御免だよ〜」


 ボアの柔らか肉で味をしめているウチのお客さんのお陰で、高い牛のステーキ用の肉が飛ぶように売れていく。有り難いこってす。


 牛の肉はあっという間に売れ切れになり、渋々ボアの肉を買っていく始末だ。もう下町民の胃袋は掴んだかな!この娼館で販売しなくなったらどうなってしまうのか。俺は知らんぞ!

 





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