第15話
その日はボアを20匹倒して、肉と皮、そして魔石を回収して帰路に就く。背負子は6人共限界まで乗せたと思う。
こちらへ来てから3日目、レベルも15を超えた俺は、200キロ位なら背負えています。手で持つより背負うのは楽とはいえ、レベル補正スゲーですよ!
それプラス、各自のカバンと俺のバックパックには、草が一杯。今日の稼ぎはかなりの物になりそうだ!
まずは先に肉を娼館に降ろして、先に売っておいて貰うことにした。そして俺は変装してラミとソラと一緒に錬金ギルドへ移動する。
錬金ギルドでは、薬草と毒消し草を卸して換金する。
薬草、100束、10万ガルド
毒消し草、150束、30万ガルド
合計、40万ガルド、金貨で40枚になった。ウマーだね!更に肉と、隠し玉がもう一つ有るんだな!
ちなみに薬草は10本1束で、毒消し草は5本で1束になる。毒消し草の方がコスパはとても良い。そして薬草はポーションへ、毒消し草は色々な丸薬になるらしい。
カウンターで毒草の在庫状況等を確認しておく。まだまだ毒草の需要は高そうだ。それにナイトポーションは1本金貨1枚らしい!ウチの娼館の女のコを一晩買うよりも高い!そこまでしてでもアレを頑張りたい人達が居るっていうことなんだな…。
その後、ダンジョンギルドへ移動して、植物ダンジョンの情報を聞いて見る。すると少し離れたダンジョンにどうやら
まあ甜菜が有ることが分かっただけでも儲けものだ。甜菜なんて実際は見たことすら無いんだけど、砂糖大根と呼ばれている事だけは知っている。
ギルドに情報料を支払って、その後に能力値の測定をしてもらう。10ガルムを払ってクリスタルを触ると光りだす。その横にある石板に数字が出るので、ソラが布にメモしてくれた。ちなみにコッチの紙は、ボスとの契約の時以外は見ていない。きっとそんなに出回っていないのかもしれない。
書いてくれた文字を見ても俺には分からない…ソラも見たままを書いただけで、数字以外は分からないらしい。なのでギルド員を捕まえて、数字は隠して項目だけ何か教えてもらう。
曰く、上から、
レベル 18
職業 サバイバー16、魔法使い3
スキル サバイバルの知識、魔力操作
生命力 (HP) 200/200
魔力 (MP) 58/70
力 (STR) 117
丈夫さ(VIT) 121
器用 (DEX) 178
素早さ(AGI) 170
知力 (INT) 92
運 (LUK) 83
ざっとこんなもんだ……不味いよねこれは?
なんかジョブとスキルが新たに生えているんだけど…。
魔法を使ったから生えたのかな?そうなるとポムにも生えていれば確定である。自分のMPを消費していたから魔石が無くならなかったのかな?
でもそう考えると、「魔石を媒体として、魔法を使うことが出来る」て言うのが良く分からなくなってくる。魔法が使えない人でも魔法が撃てる。って事なんだろうけど、俺は最初の一回目で魔法職に目覚めてしまったのかな?
そういえば1回目発動したときに、何かが湧き上がって来る感覚があったかも…あれがそうか?チャクラが開いてしまったのか?その後は逆に抜けていく感覚が有ったのを覚えている。
そうなると皆んなにもチャンスがあるな。今度皆んなでイメージ大会だな!というかこの世界の住人は、余すことなく全員魔法が使えるのではないか?
そしてサバイバーとしての能力補正は、器用と素早さが上がりやすい様だ。元を知らんから何とも言えないが。
知力は魔法使いのジョブが生えてから上がりやすくなったのかもな。今後に期待だ…それに魔力操作だよな。きっと火力の調整に役立つのだろう。
これで一通り用事も済んだことだし、娼館へと戻ることにする。ダンジョンギルドの扉をソラが開けてくれるので出ようとした時、
俺は誰かに右手首を思い切り握られた。
「貴方、少しお時間よろしいかしらん?かなり色々と聞きたいことが有るんだけど?そちらのお嬢様方も、余計なことはせずに付き合ってくれるかしらん?」
「いや〜…ボスに怒られちゃうんで急いで帰らないと…アハハハ」
「そ、そ、そうだよ?ウチらは娼館のアケチーネ様の奴隷なんだよ?急いで帰らないとお仕置きされちゃうんだよ?」
「あら〜ん、貴方達はアケチーネの奴隷なのね?それなら安心していいわよん?ワタクシがアケチーネに伝えておきますからね?」
ボスってアケチーネって言うのかよ…ウケる…ってそれどころでは無い!何かかなり不味い気がする…でもこの腕は俺では振り払え無さそうだし、このオジサ…オバサ…ん〜、困ったな。
「あなたは誰っすか?何の用なんすか?」
「あらん、自己紹介がまだだったかしらん?ワタクシ、下町第三ダンジョンギルドのマスターですわ!一応鑑定スキルが有ると言えば分かるかしら?」
あぁ、やはりジョブとスキルがバレたのか…。もう逃げようがないな…。
「ちょっとそこの貴方?娼館まで行って、商会長のアケチーネに、坊や達とお話が有るからしばらく借りると言ってきてくださる?」
「分かりました、行ってきます!」
と言って、一目散にギルドを出ていくギルド員。
「それではコチラへ。お茶でも飲みながらお話ししましょうね?」
そう言って手は離してくれているが、逃げられる隙は一切ない。素直に従った方が安全そうだ。この人、一言で言えば「達人」だと思う。
そんなギルマスに連れられて、マスター室のソファーに座らされる。ラミとソラは怖がって俺の両腕にしがみついている。
「それではまずは紅茶でも入れましょうかね。取って置きの茶葉が手に入ったのよん?とてもナイスなタイミングだったわね」
そう言って魔導ポットに魔導具で水を足して、スイッチを入れる。するとアッという間に湯気が出始めている。その間にギルマスはティーポットに茶葉を入れて匂いを嗅いで楽しんでいる様だ。そんなこんなで茶葉を蒸らして、お湯の温度を測って、10分位掛かって紅茶が出てきた。
「さあ召し上がれ?とっても美味しい紅茶なのよん?さて、それで?どういう事なのかしらん?」
「は?あぁ頂きます…どういう事?ってコッチが聞きたいんだけど…アハハハ」
「もう一度聞くわよ?どういう事なの?」
まあ、鑑定持ちと言っていたので、カマを掛けて来ている訳ではなさそうだよな。ただ何処まで言えば良いのかが分からない…マジでボスが来てくれればな…
ドガン!
物凄い勢いでマスター室の扉が開けられた。そこには物凄く息を切らせたボスがゼーハー言いながらギルマスを睨んで立っていた。
「「「ボス!!」」」
「ち!随分と早かったじゃないのよ。もうちょっと掛かるかと思っていたのにん」
「キャスパー、テメェ!ウチのモンだと知っていて攫うとは良い度胸じゃねーか?ア゛ァ?」
「ちょっと!キャスパーって言わないで!キャサリンって言って?ウフン」
「っち!オイ!帰るぞ!邪魔したな!」
そう言って俺達に帰るように促そうとしたボスの腕を、一瞬で掴み、捻り上げるキャスパ…いやキャサリン…。動きは全く見えなかった。そしてボスの耳元で、
「あら〜ん、帰らせないわよ?この坊やの事、聞かせてもらおうかしらん?このダ・ブ・ル・の・坊・や、フ〜」
とボスの耳に息を吹き掛けている。
「うひゃ〜!テメェ、ブッ殺すぞ!!ん?ダブル?」
そう言って俺を見つめてくるボス。
「裕太!お前マジか!バッカ!お前!マジか!!」
「あーやっぱりソコですよね?アハハハ…今日ダンジョンで目覚めまして…アハハハㇵ…」
「キャスパー、取り敢えず離せ!逃げやしねーよ!裕太、ダンジョンで何があった?魔法使いのジョブが付いてるじゃねーか」
「「魔法使い!?」」
声を揃えてラミソラが驚く。
「いや…実は…」
そう言って俺は魔石の事や、魔法の事を全て話した。ボスとキャ、キャ、キャサリンさんはとても驚いていた。
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