鉄の心は誰が為に
@gakuenkaraage
兵士の苦悩
自分が戦争でどれだけ敵兵士を殺してきたかはわからない。
俺が仲間を想い、死んだ仲間には泣いたり、殺した相手を憎んだりと、死に直面するまでのこれまで感じてきた想いは様々だった。
敵は殺さなければ殺される、殺せばまだ生きていられる、そう思っていられた。
しかし殺し過ぎればどうなるかまではあまり考えられなかった。ただ仲間から賞賛され、頼られ、敵からは畏怖される。そんな存在だと思っていた。そういった驕りが今返ってきたのだろう。
敵にまんまと釣られ包囲戦を仕掛けられたこの俺を見て、戦争だというのに感情の赴くままに攻撃してきた俺を見て彼女は何を思ったんだろうか。単純だからこそ扱いやすいと嘲笑うのだろうか、それとも友の仇を取れると喜んだのだろうか。
何故か物憂げな顔をしていた彼女の顔がどうしても気になりはしたが頭上から降ってくる砲弾の雨を目前に、せめて隊員だけは守ると強く思い……意識を失った。
……意識を失ってどれくらいたったのだろうか。周囲を確認しようにも体が動かない。だが何やら話し声が聞こえる。
「ライ隊長の意識が回復しました!!」
「いや〜、この人バケモノ過ぎでしょ。そりゃ回復コネクト使える人間がこの隊に多かったとは言ってもねぇ…あの砲弾の雨あられに耐え切るとか」
「ライ隊長!!聞こえてますか!!!聞こえてた『負傷兵に大声出すんじゃないよ!!!!』っすみません!!!ライ隊長、聞こえてたら返事してください!」
…大声で耳がいかれかけたがなんとか返事をしようとする。
………しようとしてみたがどうにも動かない。咄嗟に使った防衛コネクトの反動で行動できないのだろうか。
「ヒースさん!!隊長からの返事がありません!!」
「安心しなよ、今はコネクトの使いすぎでなんも出来ないだけさ。それよりも!ほら!!ローヴはさっさと仕事に戻りな!!まだ処理は沢山残ってる。しばらく隊長動けない分あんたがやりな!」
「えっ、それ代理の『さっさと動きな!!』はいぃっ!!」
「んじゃ自分も仕事戻るんで隊長の体調が復調したら教えてください〜」
……とにかく今は一刻でも早く動けるよう回復に専念することにした。
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