第20話 水のように空気のように

会社の帰りにコンビニでおでんを買った。

卵、大根、厚揚げ、ちくわぶ、ロールキャベツと、


お鍋の上で大きくなって浮いていたはんぺん。

私にとってマストな面子だ。


そして家に帰って、ハピクルサワーを飲みながら、おでんを軽くチンして食べようとした、ら、


袋の中にカラシが入ってなかった。


そういえばカラシ入れますか?と聞かれなかった。

私も特に何も求めずに、精算してしまった。


お弁当に割り箸がつくように、

当たり前に付いてくると思っていた。


水のように空気のように、

当たり前の愛などないのだ。


取り返しのつかないことをしてしまいました。


カラシが付いてるという、

なんでもないようなことが、幸せだったと思う。


私はチューブのカラシを買って、

家に常備しようと心に誓った。






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