第14話 『おもちゃの』
甥っ子に誕生日プレゼントを贈ることになった。
遠くに住んでいて、手渡しするのはムリなので、宅配便で送ることにした。
「ゲームソフトとかはいっぱい持ってるから、おもちゃの銃とか良いんじゃないかな。欲しがってたから」
姉さんが電話でそう言ってたので、それに素直に従う。子供の欲しいモノってわからないし。
で、ドンキのおもちゃ売り場で、サバゲーで使いそうな散弾銃みたいなのがあったので、
カッコいいと思って、それを買ってギフト用に包装してもらった。
その帰りにコンビニに寄って、宅配便の用紙をもらって、レジで書くと他のお客さんを待たせてしまうので、ポットのお湯を入れるスペースで記入していった。
住所や電話番号はあらかじめ紙に書いていたので、それを見ながらすらすらと記入していった。
そして品名の所になった。
私は散弾銃のおもちゃを買ったので、
素直に『散弾銃』と書いた。
そしてふと思った。
『散弾銃』
とても不穏な空気が漂う。
それを宅配便の品名に書いて送る。
自分が反社会的な行為をしている気がしてきた。
取り返しのつかないことをしてしまいました。
私は散弾銃と書いた後ろの狭い余白に、
『おもちゃの』と書いた。
『散弾銃 おもちゃの』
なんだか余計に怪しくなってしまった。
散弾銃の文字の上から、何本か線を引いて消してみたが、
消されたはずの散弾銃の文字が薄く見えて、『おもちゃの』が、怪しさを5割り増しにしてしまった。
私はあきらめて、もう一枚用紙をもらい、
今度はちゃんと品名に『おもちゃ』と記入して送ったのだった。
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