3

本日は検診の日。宝之華ちゃんと一緒に行く。

待ち時間暇すぎるからね。


「高原さん、どうぞ」


「川中先生がうちによく来るのよねー。先人どんだけ頼られてんだか」


「あのー、柚香さん呼ばれてますよ?」


「え?私?」


「高原さん」


「あ…私高原だった」


「うっそまじっすかー!まだ慣れないとかーうけるんですけどー」


「うるさいなーも!行ってきまーす」


ああ恥ずかしい!

若者のくせに私をおちょくって!


だって、私は小田原姓が長いのよ?

教師やってたし、そう名乗るが普通だったし。


宝之華ちゃんなんかまだ若いんだから、順応するのも早いわよ、そりゃ。


帰って先人に話す。


「高原って呼ばれるのに慣れないんだけど」


「そう?」


「そりゃ先人は変わらないからいいけどさー、いきなり変わってもなかなか馴染めないわけよ」


「ふーん」


先人は興味なさそう。顔に書いてある。


それでも、聞こうとするのがやっぱり先人の信頼度に繋がるのかな?


「宝之華ちゃんは、性別まだ聞いてないって言ってたよ」


「ふーん、なんで?」


「産まれてからのお楽しみだって」


「へー?」


「先人、名前は考えた?」


「まぁ、なんとなくは」


「ちゃんと決めてよねー?」


「決められなかったら柚華に任せるから」


こりゃ、決められなそうな予感。

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