第33話

嫌な気分で萩原さんの所へ。


「おー、ほのかさん、お疲様」


「はい…」


「さっき言ってなかったけど、俺の担当はまなちゃんとほのかさんだけです」


うげ、真奈さんと一緒なのかい。しかも、まなさんより私年下なのにほのかさんなの?


「ツンデレなまなちゃんとも仲良くして下さい」


ツンデレじゃないと思う…。


「もちろん、俺とも仲良くして下さい。小暮さんとは仲良くしなくていいんで」


「でも、カメラマンさんですし」


「いや、あの人はヤバイ。女ったらしで、すぐ口説くんだよ。若い子大好きで、あの人離婚してるから今フリーなんだよねぇー」


この人余計なことしゃべりすぎ。


「萩原くん。ほのかさんをお借りしたいのですが」


「あ、翼さん。どうぞ」


翼さんが乱入。翼さんには弱いのか。すんなり引き渡され、誰もいない廊下の隅へ。私、何をされるの?


「ほのかさん、その気にさせてもいいですが、告られてもすぐに断るようにしないと、あの人たちは厄介ですよ」


「もちろんです!」


「あと、萩原くんが担当になって申し訳ないです。彼の担当が少ないので、社長に回すように言われてしまって」


「あー、そうなんですか」


社長命令だったのか。じゃあしゃあない!


「ほのかさんところで、あなたはモデルの仕事をあまりされていなかったんですか?」


「…そうですね。タレントというかエキストラとかの仕事が多いです」


「では、これで勉強して下さい」


翼さんは、紙袋を手渡した。え、重い。


「雑誌でポーズ練習をして下さい。萩原くんはそういう指導はできないので。あなた自信でやらなくてはいけません」


「は、はい」


これは雑誌なのか…。どうりで重いわけだ。


「あと、しばらく撮影の予定はないので、他のモデルの撮影を見て下さい」


「はい」


翼さん、やっぱり怖い。笑顔が怖い。


「あれ?パパ?」


声をかけたのはジャムさんだった。え?


「あ、間違えたー!」


「もしかして、翼さんってジャムさんのお父さん?」


「はは、そうですよ。よくわかりましたね」


「え、美空だし…」


「そうですね。皆さんはジャムの苗字を知らなくてですね」


「でもパパって言ったらわかります!」


「そうですけど、ありえないと思ってしまうんですよ。だから内緒にして楽しんでいるんです。面白いですよ?」


「そーなの。ジャムはすぐパパって言っちゃうんだけどー」


いや、みんな気づけよ。


「みんなに内緒なんですね」


「長山さんは知っていますが、内緒にしてもらってます。ほのかさんも、いいですね?」


「はい!」

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