第19話

実くんから誘ってもらったパーティーへ行ったのだけれど…


「ねー!宝之華ちゃんも来るの?」


「そうなんだけど…」


実くんが宝之華を待ってるのはわかっている。でも、連絡しても繋がらない。

もう1時間は過ぎたのに…。

いったいどうしたのだろう?仕事まだ終わらない?


「まー零くん、俺の肉じゃが食べてよ!」


「あぁ、ありがとう。実くん、料理上手だね」


「まあね!零くんの好きな食べ物だからはりきってみた!でも~みかこがさ~いろいろうるさくて~!あ、零くん洋服屋超似合うね!俺が選んだけどー!」


実くんの、のろけ話や自慢話を長々と聞かされていたとき、やっと宝之華から連絡があった。


「どうしたんですか?」


「すみません!マネージャーが怪我しました!」


「え!?」


「仕事終わったあとすぐ行こうとしてたら、階段で転びました。で、歩けないっぽい!すぐ来れますか?病院近いんですけど、私には持てないんです!ほかのスタッフも今仕事中だし!」


「わ、わかりました。場所は?」


…マネージャーさんが?よくわからないけど、とりあえず行ってみないと。


「実くん、ちょっと迎えに…」


「え?どうしたの?」


説明…


「またあとで話すよ!」


せっかくのパーティーだったのに、残念だ。

現場に到着すると、青ざめたマネージャーさんとイライラした宝之華がいた。


「マネージャーさん、大丈夫ですか?」


「いや、無理。助けて~」


「は、はい!」


マネージャーさんを担いで病院まで急いで運んだ。その結果は、骨折ということだった。


「零さん、こいつはしばらく入院だってよ」


診察の終わったマネージャーさんの病室で、すごく嫌そうな顔で宝之華が言った。


「そうですか…」


「私、クリパ行きたかったのにな~も~」


残念がるマネージャーさん、自業自得では?


「残念でした~!あんたがあんな靴履くのが悪い!」


その通りのようで…


「だってー!美脚になるじゃん!」


「もう二度と履くな!」


2人でさんざん言い合っていたが、疲れたのかいつの間にか静かになった。それから、マネージャーさんを置いて、宝之華と病室を後にした。


「あの、遅いですが…クリスマスパティー、今から行ってみますか?」


「ですね」


再びバーへと向かった。

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