零と宝之華

えいみ

佐賀宝之華の旅

第1話

「ここで働かせて下さい」


突然やってきたのは、明らかに俺の通ってた中学の制服を着た女の子だった。


「中学生ってバイト禁止じゃねぇの?」


「あ、お構いなく。私ビンボーなんで、バイトOKにしてもらってます」


「まじか。俺と一緒じゃん…。」


「えーと、そういうことで働かせてもらえます?」


……しょうがない。


「いいよ。だけど…制服じゃちょっとなぁ…」


「大丈夫です。着替え持って来ますから!」


「そ?ほんじゃ、明日からよろしく。学校終わったらとりあえず来てよ」


「わかりました。では失礼しました」


女の子は早速と去っていった。


…って、


「ちょいまち!名前なんての?」


「あぁ、佐賀です」


「OK。俺はこずえ。よろしく!」


ぺこりと頭を下げて去っていった。はぁ、まじかわいい子だった。これはチャンスなんじゃね!?


次の日から彼女は、早速働きに来た。


「あれー?梢、その子だれ~?」


「この子はアルバイト」


「かわいいね~。名前なんて言うの?」


「おい、みのる。ナンパすんなよ」


友人の実はモテる。だが俺の妹の一応旦那なんだからしっかりしろよな…。


「私、佐賀と申します」


つーか無視かよ。


「佐賀ちゃんか~。ねね、何歳?」


「15です…」


「若っ!いいね~。ね、れいくん」


「え、はい?そうですね」


こちらは、同級生だった躑躅つつじ。実のダチだけど、ただ食いをよくする愚か者だ。


「あ、俺ねー足助実あすけみのるってゆーんだぁ。よろしくー、んでこっちは零くん!」


「躑躅と申します。よろしくお願い致します」


「着物で敬語でかなりかたいですね~」


「零くん敬語好きなんだよ~許してあげてね~」


てゆーか、俺はみんな無視するのね…。


「あ、ちなみにこのお店のやつの名前は梢…なんだっけ?」


耕一こういち…ですけど」


「そうそれ。覚えなくて大丈夫だからね~」


なにそれひどい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る