残酷で、ただ残酷なこの世界

海鳴ねこ

1章 はじまり

拝啓、正義の味方様へ

 


 ――誰が良いか?

 

 例えば、世界を救った勇者とかどうだろう。

 大勢の仲間を連れて、沢山の困難を乗り越えて、巨大の悪を倒した彼らなら私を救ってくれるはずだ。

 

 例えば、国に仕える騎士様とかはどうだろう。

 一人の王に心身ともに使え、国を守る。正義の化身みたいな存在。その真っすぐな心で私を助けて欲しい。


 例えば、世界を冒険する冒険者とかはどうだろう。

 心躍る物語を紡いで、宝を求めて旅した彼らならば何より私を楽しませてくれるだろう。

 

 例えば、嗚呼、そうだ、この際だ。

 人が恐れる程の悪でもいい。

 歪んだ正義で、血を浴びながら、どうか私を救って欲しい。


 ――誰が良いか?

 

 ――誰でもいい。



 どんな善人でも悪人でも君たちが人間ならば、”人間“であるならば。

 きっと、私たちを救ってくれるはずだ。


 私の世界には絶対的な悪がいる。

 私の大切な世界を、私が何より愛する世界を、どうかどうか助けて下さい。

 

 あなた方が正義の味方ヒーローであるならば、

 きっとあなた方はこの世界を救ってくれることでしょう?






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