僕は放課後だけの女子高生

電気羊の夢

♯01 パンチラ

「あの~…スカートが引っ掛かってますよ…」


 僕が振り返ると、そこには僕を心配そうに見つめている女子高生の姿があった。


 彼女は僕のスカートがリュックに引っ掛かって、捲れていることを教えてくれていた。


 僕の趣味は女装で、最近は女子高生風の制服を着て外出を楽しんでいたが、まさか、自分がパンチラをしていたなんて思いもよらなかった。


「ふぇっ!」

「えっ…」


 背後から突然声を掛けられた僕は、驚きの余り変な声を発していて、その声を聞いた女子高生も驚きの表情を浮かべた。


 女装時の僕は頻繁に男性からナンパされていたので、路上で声を掛けられる事に慣れている筈だった。


 しかし、ナンパ男たちは僕に声を掛ける前に、顔を確認したり周りをウロウロする予備動作があったので心の準備が出来たが、今回のように予期せぬタイミングで後ろから声を掛けられたのは初めてだった。


 僕は慌てて自分のお尻を撫でるようにスカートの裾を直した。


「あっ…教えてくれてありがとう…スカートに慣れてなくてw」


 声で男だとバレた僕は、しなくてもいい言い訳をしていた。


「男の人なんですか!全然、気付きませんでしたw」

「そう?」

「はい!スタイルも良いし雰囲気も女らしいので、本物の女の人だと思いましたw」


 意外にも、彼女は女装をしている変態オカマ野郎の僕に好意的だった。


「そう言ってもらえると嬉しいw ありがとうw」

「えっ!声が女の子になった!すごい!」


 僕が意図的に喉仏の位置を上げて女声でお礼を言うと、彼女は更に驚いた表情になった。


 僕たちは駅前の歩道に立ち止まって話をしていたので、すれ違う人たちの注目を集めていた。


 僕は声を変えて女子高生同士が会話をしてるように見せかけることにした。


 一般的にオカマの声は野太く、口調だけが女らしいイメージだが、声帯の形状を女性に近づけるトレーニングを重ねると、本物の女性と変わらない声質にすることが出来た。


「普段から女の子の格好をしてるんですか?」

「普段は普通の男子大学生よw」

「そうなんですかw」


 彼女は僕に興味を示し、嬉しそうに僕を質問攻めにしてきた。


 僕は女声で喋っていたが、会話の内容が女同士では有り得ない内容だったので、すれ違う人に二度見されていた。


「急いでいるのに、わざわざ教えてくれてありがとうw」


 僕は彼女との会話を切り上げることにした。


「いえいえ、全然急いでないので大丈夫ですよw ところで、その制服は…」


 彼女は僕の意図を理解していない様子で質問を続けた。


 僕は親切な彼女を無下に扱うことが出来ず、場所を移動して話をすることにした。


「良かったら、そこのミスドに入らない?」

「はい!いいですよw」


 僕たちは目の前にあったドーナツ屋に移動することにした…。

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