第34話 私たちは中間考査②
今日はバカ兄がきい姉のところに行っていて、桜さんが家にいる日。私は国語の古文をやっている。
「桜さん、ここの『けり』って?」
「ここは『〇〇やなぁ』みたいな意味で捉えたらいいから詠嘆。逆にこの次の方が過去になるで。」
桜さん曰く、古文はやってやってやりまくって、慣らしていったほうがいいらしい。なんか論語みたいになってる。古文に毒されてきてるなぁ。嫌だ。
「桜さん。なんで古文って勉強しなあかんの?」
私は率直な疑問を投げかける。よく考えてみたらそうだ。こんな文章もう見ないし、古文やるくらいなら現代文やった方がいいに決まっている。でも、カリキュラムに絶対に入ってくるのが古文というものだ。
「なんでやろ。考えたこともなかったわ。」
桜さんは一旦手を止めて笑いながら言う。
「テスト作る人が作りやすいってのもあるやろうし、そこまで長くない文章で問題めっちゃできるやん。」
「たしかに。たった20行ぐらいやのに大門1つ作れるわ。」
現代文の問題は数ページに及ぶのに古文の問題って、多くても用紙両面くらいしかない。たしかに問題としては使いやすいのだ。
「そんでもってミスする人が多いってのも、ふるいにかけるってのでいい問題なんやろな。」
古文は覚えてないと解けない。用言の活用や助詞助動詞の意味。そしてある程度の単語の意味。これらを覚えていないと解けないのだ。
「漢文も同じちゃう?」
「それはそう。漢文の必要性が未だにあんま分からんけど。」
「それは私も同意やな。」
桜さんは再びペンを持って勉強を始める。なんの勉強をしてるのかなと思って覗いてみたら、英単語をやっていた。しかも全部書いている。効率が悪いけど確実に覚えれる方法。でも時間が無いから避けるべき方法だ。
「なんでそんな方法してるん?」
「ん?あぁ、2年なって問題数増えたから覚えられへんくなって久志に相談したらこれで覚えるって。効率よりも点数取りに行くねんて。」
「それで桜さんもこの方法をやってると。」
「そゆこと。」
何か懐かしむように桜さんは言う。
私も国語のノートを広げているテーブルに戻り、また始める。
「私からしたらその方法も効率悪いと思うねんけどな。」
「まぁせやな。めっちゃ時間かかる。」
私がやっているのは国語の授業ノートをもう1回作り直す作業。今までの授業全部を数時間でやるから、しんどいし頭もめっちゃ使う。
「やけど、覚えれるから。」
「さすが兄妹。似てるわ。」
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