【短い話】ドレミのかいだん①~学校にいけなくい思いをかかえた子、泣かないで~

@maetaka

第1話 大人は、子どもの生きづらい気持ちを、わかっていない。「ドレミ?タイパって、タイツとパンツ?」真顔で言う母親が、心配です。

 ピンチ!

小学生女子のドレミは、お気に入りの肉屋の入り口で、たたずんでいた。母親と、楽しい買物ができると、思っていたのに。

 「これじゃあ、みせのなかに、はいりづらい…」

 店の入り口に置かれていたリモートの体温計では、37度が、表示されていた。

 熱を出してしまった原因は、良く、わからなかった。

 「また、やっちゃった…」

 たしかなのは、彼女が、ソノミという子と仲が良かったということだ。2人は、昨日も、一緒に、遊んでいた。

 「あーあ…。ソノミちゃんと、日本ぐったりゲームで、遊びすぎたのが、いけなかったのかなあ?」

 仕方がないよねといった表情の、母親。

 「お母さんが、お肉、買ってくる。ドレミは、そこで、待っていなさいね?今度は、上手くいくと、良いね?」

 大人は、変わったことを、言う。

 「今度は、上手くいくように」

 何かの、犯罪者みたいだ。

 まあ、そう言いたいのも、わかる。

 けど…。

 社会は、変わった。

 「今度は、上手くいく」

 それって、いつのことなんですか?今度がやってくる保証なんて、どこにもない。努力や、がまんが実を結ばない今の日本じゃあ、期待感が、なさすぎ。

 「コスパもタイパも、わるすぎ」

…って言えば、大人には、通じなかったし。

 「ドレミ?タイパって、何?タイツとパンツ?」

 真顔で言う母親が、心配です。

 「肉買って、すぐに、戻ってくるから。ドレミ?何か、ほしいものはある?」

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