第1話 女の恋は時に怨みになる
何が言いたいのかと言うとだな。
俺の大事な精巣が遥ちゃんの全力タックルで…ホームランしてしまった…
「おぉ…うっ…」
俺は声にならない声でうずくまると遥ちゃんにマウントポジションを取られてしまった。
『ハァ…ハァ…ハァ…殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すゴロズゴロズゴロズゴロズッ!!!』
「ぐっ…がっ!!」
マズイ…首を絞められた…ってか、女の子がこんなバカヂカラで窒…息…
「ぐっ!ゲホッ!ゲホッ!…ハァ……ハァ……ハァ……」
俺が窒息しようとした時に何故だが怨霊に取り憑かれた遥ちゃんの手の力が緩んだ。だけど…
『まだ…コロザナイよ……?』
「ウガァァァァッ!!!」
遥ちゃんに取り憑く怨霊はまたしても可愛さもない笑顔に涎を滴り垂らしてながら笑い…
そして……俺の肩に…容赦なく噛み付く……
遥ちゃんの歯で肉が食い込み、歯の力は弱まる処か強まる一方。噛み付く血は吹き出す…
「ヤレヤレだぜ…フンッ!!」
すると遥ちゃんの横腹を勢いよく蹴り飛ばし俺から遥ちゃんを退かしてくれたのは斑だった。
「ハァ…ハァ…」
『グルルルル…』
「全く。年頃の娘と何を子づく…」
「違うわ!よく見ろ!こんな血だらけの事で…」
「まさか…あの娘がサドで悠希がマ…」
「もう良い!!とにかくだ…少し時間を稼げ。あの怨霊を遥ちゃんから引き剥がす。」
「まぁ良いだろ。」
俺はすぐに霊縛の数珠を取り出して両方の手の平を合わせる。そうしてる瞬間に斑は遥ちゃんを誘き寄せる。俺は、その隙に
唱える。
「霊魔獣禁呪(れいまじゅうきんじゅ)…霊縛鎖(れいばくさ)ッ!」
そして唱えた瞬間に数珠の玉から幾つもの鎖を出して遥ちゃんを拘束した。だけど俺の目的はここからだ。
「遥ちゃんから離れな!怨霊!!」
すると遥ちゃんの中から何か半透明な物が出てくるのが分かった。
そして、その半透明な物の姿に徐々に分かって来るのが分かった。
そいつは肌が雪の様に真っ白で髪には艶がなくパサパサの長い髪に目はなく真っ黒な空洞になった着物が着崩れした女の怨霊だった…
『うぐぐぐ……ウガァァァァッ!!離せ!離せ!離せ!離せぇぇええ!!』
女の怨霊は霊縛の数珠の鎖を振り振りほどこうとするが残念ながら、それは俺の意志以外はほどけない。
「ちっ!遥ちゃんから離れてもらうぞ。」
「おっと…」
俺は女の怨霊を引き剥がすと、遥ちゃんは気を失い倒れ込むが、斑が身体を支える様に安全な所で寝かせる。
『ユルサナイ!ワタシノ大事な櫛をモチサルなんて!!ウワァァァアアアッ!!』
「うるせぇよ。黙れ。」
俺は霊清銃を怨霊に向けて純銀製の弾丸を容赦なく全弾5発ブッ放す。
「1発は俺の服を血塗れにした事。残りは遥ちゃんとその家族を苦しめた分だ。」
『ウガァァァァッ!!痛い!!痛い!!イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイッ!!焼けるウゥゥゥゥ!!!』
「てめぇら霊にとって痛みや苦しみがない。だけど銀製の弾丸は魔を退治する対抗手段だ。特に悪霊や怨霊なんて魔に値する。そいつに銀製の弾丸は毒の様なもんだな。」
俺は弾切れになった霊清銃のリボルバーを外して、再び弾を装填して引き金を引いて怨霊に霊清銃を怨霊に向ける
「全てを言え。お前が怨霊になった理由。そして何故に遥ちゃんに取り憑いた?言わなければ、問答無用でまた撃ち込むぞ。」
『……お前は…愛憎湖の話は知ってるか?』
「あぁ…大まかな事はな。」
『なんなら話が早い。私は愛憎湖で死んだ団子屋の町娘だよッ!!』
やっぱりって言えば、やっぱりだし驚きと言えば驚きだな。町娘の幽霊は涙ながらに語る。
『私の愛する人は、私を庇う為に自分を犠牲にして…私の目の前で殺された…』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます