烏間悠希の心霊探偵事務所ですけど?

藤田吾郎

第1話 女の恋は時に怨みになる

どうも俺は烏間 悠希(からすま ゆうき)って言うんだ。職業は……除霊師だ。うん。根っこから怪しいと思うだろ?


でも、俺は嘘を付いてるつもりはないんだよ。俺ば紙゙に誓うし命も゙書ける゙ぜ。


あっ。字が違うか。とにかく俺は除霊師って職業だけは信じなくても良いから理解だけはしてくれないか?


何で?俺が除霊師になった事から説明するとだな。よくある話で言う家系なんだよね。うん、母親の家系では代々除霊師としてやってたらしいんだ。


ってかさ…まさか、あの口煩くて、いつもピーチクパーチク煩くて、限定品と安いとか値引きに弱くて近所の人と無駄話しては午後は煎餅を貪り食いながら昼ドラ見てる母親がさ除霊師ってのが驚きだぜ?


どうやら母親の除霊師としての才能を受け継いだ俺なんだけど昔から幽霊が見えてるんだよ。


確かに幽霊が見えたのは物心が着いた頃でさ。そりゃあ俺も怖くて怖くて母親に泣き付いたよ。


夜のトイレとか風呂とか子供ながらマジで怖かったよ。だってアレだよ。便器を持ち上げた瞬間にオッサンの顔が出てくるんだぜ?怖くてトイレでお漏らしだぜ?トイレなのにその場でお漏らしって恥ずかしくてしょうがないよ。


まぁ…成長してくると幽霊が見える事に自覚して別に恐いとは思わなくなったけどさ。1番辛い事はさ。やっぱり親戚の葬式の時かな。


葬式ってやっぱり亡くなった人の棺から幽霊が出てくるわけよ。でも亡くなった人がヒョウキンな人だとさ。


寺の坊さんの木魚に合わせて親戚の人がペチペチって坊さんの頭を叩いた時は本当に辛いよ?


だって葬式だから悲しみを惜しむ場所じゃん?もう完全に笑ってはイケない葬式じゃん。


俺も不意を突かれて笑ったら親戚の連中から精神科の病院に薦められたのよ。


でも、何故だか親父や他の親戚の連中から精神科に薦められたのに母親と母方の親戚だけは俺を庇ってくれたんだよな。


あの時は俺も必死だったのかな?『だって!オジチャンの幽霊が坊さんの頭をポンポン叩いてたんだもん!!本当だもん!!』って必死に訴えても親父や親父の親戚は笑うだけだった。


あの時ほど子供ながらに泣きながら、必死に訴えても大人達は俺を嘲笑う様に全く聞き入れてくれなかった。


でも、先ほども言ったが母親と母親の親戚は何故だかアホくさい様な俺の話を信じてくれたんだ。


そして母親は言ってくれた。『実は私も悠希と同じ様に、あのオジサンがお坊さんの頭を木魚に合わせて叩くから笑いそうになっちゃってね…クククク。』


母親はそう笑いを堪えながら楽しそうに話すけど俺は自分の話を信じてくれた事が嬉しくて堪らなかった。


だけど母親は同時に複雑そうな顔をしながら『やっぱり私に似ちゃったのね』と言う。


俺は、その時は頭にハテナマークを浮かべていたけど少しばかり母親が残念そうな顔をしてたのは今でも覚えてる。


それからと言うもの俺は心霊と言うものに子供の好奇心なのか興味を示した。


図書室で読む本は毎回怪談とか都市伝説の類いでたまに誰も居ない所では幽霊と話したり。


そこで知ったのが幽霊にも色んな理由で死んだり葬式を済ませても成仏が出来ずにこの世をさまよってる事。


でも、そんな好奇心と興味で心霊を調べたりしていると、ある事件が起きた。


それは…霊の中でもタチの悪い存在。悪霊または怨霊だ。


それは俺はいつもの様に学校の帰りに近くの図書館で心霊について本を読んでいて、その帰りだ。


図書館から出た瞬間に何か違和感を感じた。いや違和感って言うより寒気を感じたんだ。季節はそんなに寒くない季節で、むしろ汗ばむ陽気だ。


何故か寒気を感じたんだ。その時はそこまで気にする事なく家に帰る事にする。


その時は確か腹が減ったなとか今日の晩御飯は何だろうな?とかしか考えてなかった。

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