寝取られ幼馴染に振られたらアダルト女優が仕返ししたいと言ってきた
楽園
第1話 寝取られ彼女
「ごめんね、雄一」
山本雄一の目の前で
その間、エ○チをずっと我慢してきた。つきあってすぐにキスはしたけれども、手を触れるだけで、緊張された。抱きしめたら、震えていた。
「大丈夫だよ、里帆が一歩を踏み出せるまで俺はずっと待つから」
里帆の髪を撫でると嬉しそうに顔を埋めて来た。世界で一番可愛くて尊い存在だった。
まさか親友の
大学2年生の昼休み、休憩スペースに来てと誘われた。デートのお誘いかと思って行ってみれば、里帆の隣に聖人がいた。ふたりは見つめ合っていた。その雰囲気からつきあっているんだと感じた。
「君があんまり長いこと手を出さないから、里帆ちゃんもらっちゃったよ」
「ごめんなさい」
「なんで……、俺里帆のことずっと大切にしてきたのに……」
「わかってないなぁ。里帆ちゃんは抱いて欲しかったんだよ。身体は正直さ、ほら」
聖人は俺が目の前にいるにも関わらず、里帆の胸を揉んだ。里帆の瞳が潤み、見たことのない表情をした。
「ちょっと、いや、……あっ、こんなところで、やめてよ」
「この女、そう言いながら、感じてるんだぜ」
俺は怒りでも、悲しみでもなく。目の前で繰り広げられる光景に
たとえ寝取られても良かった。そんなもので、俺たちの関係が壊れるわけがない。
里帆が望むように抱いてあげよう。そうすれば今度こそうまくいく、俺はそう思った。里帆の身体に手を伸ばそうとした。
「やめて! 触らないで!」
はじめて聞く拒絶の言葉だった。友達の時から数えて11年半にも及ぶ大恋愛の末にたどり着いた恋愛関係がこんなに
「おい、やめろよ、ふざけんな。クズ野郎」
「ごめんね」
「こんなやつ見るとイライラしてくるわ」
土下座をしている横をふたりが歩いて行った。大好きだったのは俺だけだったのか。激しい憤りが身体中から吹き出しそうに湧き上がってきた。気がつくととめどなく涙があふれた。
「雄一、お前……」
俺が泣いてるのを見て何も言わずに山崎裕二が隣に座ってきた。その後、俺の愚痴につき合ってくれた。
飲みに行って、洗いざらいぶちまけた。飲んで、そして泣いた。心にポッカリと空いた穴は埋められることもなく広がっていた。こんなにも里帆が好きだったんだ。聞いてもらったことで、幾分気持ちが楽になった。
「あー、最悪……」
予定のなくなった日曜日、家でネットゲームで暇を潰していた。何かしないと苦しくて仕方がなかった。
そんな朝、悪友の裕二から電話があった。一昨日のことを心配して電話をかけてくれたのだろう。
「暇か、暇だよな」
電話ってもしもしから始まるんだぜ、と心の中で呟く。山崎に面倒くさそうに応えた。
「で、なんか用か、俺は最高に最悪な気分なんだけどよ」
「わかってるって」
言葉の端々に心配をしてくれてるのがわかった。
「お前暇だったら、
「興味ねえよ、アイドルの握手会なんかよ」
「アイドルじゃねえよ。今をときめくアダルト女優の……」
「切るぞ」
相手の言葉を聞かずにスマホの通話を切った。ふざけるなよ、アダルト女優なんてケバいのばかりだろ。なんで握手会なんか行かないといけないんだよ。
その後、何回も着信があった。
「頼むよ、一回だけ絶対に約束する」
めんどくさかったが、辛い思いが忘れられるのならと、待ち合わせ場所に行った。男との待ち合わせなのに、十五分も前に着いてしまった。なぜ、早く着くんだよ、と思いながらも、そこで待つ。行くところもなかった。
視界の先に20代前半くらいの女の子がいた。黒髪でボブカット、化粧も薄くあどけない顔、かなり可愛かった。里帆よりも絶対可愛い。待ち合わせをしてる、どの娘よりも目立っていた。
どんな男と待っているのだろうか、つい目が彼女を追ってしまった。
彼女はこちらに気づいたのか、近づいてくる。まずい見過ぎたか。怒られる、と思った。
「雄一さん、ですよね」
首を傾げてニッコリと
「えと、君は……誰かな」
「わたしは、酒井優衣です」
昨日聞いた名前だった。まさか彼女が。
スマホが鳴った、確認すると裕二からだった。
(感謝しろよ。お前の失恋に同情した俺が優衣ちゃんとの三時間デート券を買ったんだからよ。高かったんだからな)
目の前の美少女が酒井優衣。アイドルと見間違うくらい可愛かった。化粧も薄く俺が知ってるアダルト女優と正反対だった。
「雄一さん、行きましょう」
優衣が手を組んできた。周りの男が明らかに嫉妬の目で見てくる。こんな可愛い娘と手を組んで歩いてたら、誰だってそう思うよ。
―――
「いらっしゃいませ」
俺と優衣は千代田区の喫茶店に入った。喫茶店と聞いて優衣は驚いた表情をした。
窓際の席に腰掛けて、優衣と座る。
「変わってますね」
頬杖をつきながら優衣は微笑んだ。
「喫茶店は嫌だった」
「うううん」
首を横に数回振る。
「でもね、こう言う仕事してると、大体ホテルかお酒飲めるところだから」
興味の色を浮かべて、じっと見つめてくる。
「喫茶店なんて来たの久しぶりだよ」
背を伸ばしてニッコリと笑った。
「ねえ、聞いていい。失礼な質問だったら答えなくていいよ」
「なんでも聞いてよ。その方が楽になるから」
「すごく悲しそうにしてるのは、何故かな」
「昨日振られちゃったから……」
「そうなの、こんなに可愛いのに、なんで」
「1年半、手を出さなかったから」
「失礼だったらごめんね。病気とか?」
俺は慌てて首を振る。
「勇気がなかった。俺も彼女も初めてだったし」
「初めて同士はお話だといい話になるけど、うまくいかないよね」
優衣は遠い目をしながら頷いた。そんな経験あるのだろうか。
「で、寝取られた」
「それで友人が気を遣ったわけか」
「ごめんなさい」
「いいよ、いいよ、謝らなくて。私の方が謝りたいくらい。大切な話教えてくれてありがと」
店員が注文を取りにやってきた。優衣と俺はアイスコーヒーを頼んだ。
「質問いいですか」
「うん、君可愛いから、なんでも答えちゃうよ」
「可愛いですか」
「うん、可愛い。きっと磨けば女の子にモテるよ」
可愛い娘に可愛いと言われて嫌な気はしない。お姉さんのような態度だった。もしかして年齢は上なのかな?
「で、質問なんですが、なぜアダルト女優なんてやってますか」
「あー、その話来るかぁ」
優衣は遠い目をしていた。店員がコーヒーを2つ持ってきた。ご注文は揃いましたか、と言ってくる。それだけ言うと厨房に戻っていった。優衣は一息ついて、話を続ける。
「唯一の友達がね、自殺したんだ。それでわたしも何もないまま死ぬのかな、って思ったら何か残したくなってね」
「ごめん、こんな話させて」
「いいの、いいの。気にしないから」
少し暗い顔をしていたのは気のせいだろうか。
「今日初めて見て、驚きました。無茶苦茶可愛いし」
「そっかー、わたし可愛いんだね」
「そう言う意識ないですか?」
「まあ、人気あるしそうなのかなあ、と思ってたけども、君から言われるとドキッとした」
目の前の優衣は考え事をしていて、パッと顔が明るくなった。
「そうだ。聖人がわたしのことを好きになれば寝取り返せないかな」
「雄一がね、わたしを連れて学校行くの。そしたらさ、きっとわたしを誘いに来るよ。で、わたしがホテルで写真撮って里帆ちゃんに送ってあげる」
自信満々で言ってくる。やっぱり顔に自信あるんじゃん、と思った。
「そんなの悪いですよ」
「悪くない悪くない。なんか、ムカつくじゃん。そいつさ」
「でも、それじゃあ、優衣さんが」
「だから、何度も言うけどわたしはAV女優なんだって」
「そうだ、君ならいいよ。今日ホテル行こっか。凄いんだよ」
「いいです」
「えー、向こうは寝取られたのに、こっちは初めてなんておかしくない?」
「これは俺の信念なんです」
「ふうん、そんなとこも可愛い。なんかわたしが雄一くんに惚れてしまいそうだね」
冗談が本気かわからないが目の前の優衣は、嬉しそうに微笑んだ。
――――
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