エスパーくんには誤魔化せない
@frontale0520
プロローグ
「ううっ、うっ……」
「やーい! 泣き虫レミたーん!」
小さい頃から私は泣き虫だった。その嫌気を加速させるようにいつも私はクラスの男子たちに虐められていた。
「おい、先生に見つかったらどうするんだよ」
「勝手に泣いたとか、適当に言えばバレないだろ」
何も言い返せない私は赤ちゃんみたいにずっと泣き続けていた。周りのクラスメートたちは私たちのことなんて気にせず、平凡な昼休みを過ごしている。すると、ガラッとドアが開いた。
「おい松田、ドッチボールしようぜ……って、何してんだよ!」
目の前には隣のクラスの男の子。去年同じクラスだった子。その子はずんずんと前に進み、仁王立ちをした。
「は? 別にこいつが勝手に泣き出して……」
リーダーの男子は慌てふためいた様子でその子に話した。
「そんな訳ねえだろ!」
「俺、嘘なんかついてないし!」
激しい口論、耳が痛くなる。
「先生言うぞ!」
クラスの男子たちは決まりが悪そうな顔でそそくさと教室を出ていった。
「大丈夫?」
私はこくりと頷いた。
「立てる?」
さっきの男の子が手を差し出してくれた。私は手を取って、立ち上がる。スカートにホコリがついている。それをはたくと、気持ちは落ち着いていた。
「ごめんね」
「良いって、別に……何でお前が謝るんだよ」
私はどう言い返せばいいか分からなかった。頭をぐるっと回して次の言うことを考える。
「ありがとう」
「うん、ホントお前は相変わらずだよ」
私は首を傾げた。男の子はニヤッと笑った。
「お前の考えていることなんか全部お見通しなんだよ」
それが彼の決め台詞だった。
今でも私はあの子のことが忘れられない。でも、好きって訳じゃないからね!
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