第54話 半年ぶりの床屋にて

 ブルートレインの思わぬ反応に少々困惑気味の男です。

 https://kakuyomu.jp/works/16818023213265875869

 皆さん、懐古的なお話が好きなのでしょうか?


 閑話休題それは、さておき

 去年(2023年)の秋頃から六日勤務一日休暇月火水木金金という、なかなかハードな日々を送っております。

 さすがに毎週これだと、心身ともに壊れますので、適度に連休を挟んではいたのですが…

 まぁ、休みには日頃出来ていない家事や買い出しが重なって来るもので、何だかんだで床屋に行きそびれ、気付けば髪の毛が鳥の巣状態…


 丁度三連休が取れたということで、頭の剪定(笑)に出かけた訳です。

 近所の気になる床屋も有りましたので、冒険がてら、その店に行ってきました。


 引き戸式の扉を開き飛び込んで来るのは、たたきと喫茶カウンター席のような二畳程の空間。

 その奥、十畳程の店内には、散髪用の席と洗髪用の席が一つずつ据付けられています。

 散髪席の正面には、高さ1m70cm、幅60cm程度の大きな姿見が鎮座しています。


「お客さん、お名前は?」

「はい、○○本名です。」

 店主がくったくない表情で聴いて来ましたので、素直に答えましたが、床屋で名前を聞かれたのは随分久しぶりのことのように思います。

「○○さん、新しいお店は不安でしょ?」

 まぁ、正直な物言いの店主に

(お値段次第かな?)

 とは答えられず苦笑いする一幕も有りましたが。


 少気味良いJAZZの音色に浸り、何とも贅沢な時間を過ごすことが出来ました。

 こんなお店が、自宅から歩いて5分程度のところにある…灯台もと暗しとは、まさにこのことなんでしょうね。

 地域に根付いて居るだけに、ご近所話にも花が咲けば、実は店主と同じ地区で仕事をしていたことも知り、奇妙な親近感も感じていました。


 さて、問題のお値段は?

 カット、シャンプー、顔そり、髭そりのセットで¥3,800円!

 因みに、日頃お世話になっている店舗のお値段からすると、二倍の価格ではあったのですが、楽しい一時が過ごせたこと、喫茶店で店主とお喋りを愉しんだと思えば、そう高い買い物でも無いかなぁと思いました。


「また、どうぞ。」

 送り出す言葉も軽妙に、私は店の扉を閉めるのでした。

 さて、次回も男は此処に行くのでしょうか?

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