2日目

 僕の中では地獄の一日が始まろうとしていた。結局、話すことが決まらずにこの日を迎えてしまった。趣味でも話せばいいと思うが趣味がない人にこの話題はむずかしいよと頭を悩ませていた。このまま学校に行くことになった。


 結局、何も思い浮かばず自己紹介をする時間がきた。ここで先生の追加の質問がきた。

入りたい部活と好きな食べ物を紹介するようにと言われた。


 僕の通っている中学校は、必ず部活に入らなくてはならないと規則で決まっており誰しもが絶対に入らなくてはならない。だから、帰宅部と言うのは存在しないのだ。帰宅部になりたかったら学校に来ないか、部活に入って幽霊部員になるのこの2択しかないのだ。


 僕は、陰キャながら運動神経だけは抜群に良かったのだ。僕には、一つ問題があってその問題とは運動神経は良いがあんまり目立つ事が嫌いで大体のことは目立たないようにしてきた。多分いるとは思うけど、陰キャで運動神経が良いとあんまり良い事がないのだ。僕個人の悩みである。話が逸れてしまったけど自己紹介が始まろうとしていた。


 廊下側から自己紹介するのか窓側から自己紹介するのかジャンケンで決まった。僕的には、こういうのは後半の方が緊張すると思う。だから、是非とも美久にはジャンケンで勝ってほしいと思う。僕は、美久に小声で言った。


『あああずまさん、ファイト~』


 ちょっと声が震えてしまった。


「ありがとう。江口君、頑張るね。」


 死んでしまいたいと僕が生きている中で初めて感じた日になった、どうやら僕の声は聞こえていたらしい。聞こえないぐらいに小さな声で言ったはずなのに。でも、すぐに美久はジャンケンに集中していた。僕は、初めて美久のこんな集中している姿を見た。

 

 この時、これなら勝ったなと確信していた。美久は見事にジャンケンで負けた。僕がフラグを立ててしまったせいで負けたのだとこの時思った。心の中で謝っておこう。ごめんとだけ小さく呟いてしまった。


 順番は、ジャンケンで勝った窓側の一番後ろの席の人から始まり、前まで行ったら横の列に変わって前から後ろに行くといった感じになった。


 今は自己紹介が始まって25分経ち、スムーズに進んでいて次の次が僕の番だ。


 うー、緊張してきた。こんなにスムーズだと心臓がバクバクする。自己紹介を見てきた感じだと、陽キャだとやたらと盛り上がっていた。陰キャだと発表し終わったら空気が重くなっていると思った。僕は早口で言って早く終わらせてしまおうと考えた。隣の席の子が終わっていた。全然聞いてなかった。まぁ、そんな事より自分の事に集中しなきゃ。僕は、先生に呼ばれて席を立った。

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